拝啓
福島の危機的状況につき改めて報告させていただきます。
「内外で高まる東京五輪返上の声」と題する2016 年年頭所感で「放射能安全神話」の巻き返しによる福島隠しすら見られること、このままでは未来の世代は放射能被害の無実な犠牲者になってしまうことを指摘 しました。小泉元総理の「トモダチ作戦」により放射能被害を蒙った米軍兵士救済基金の設立(既に1億円到達)は福島隠しへの挑戦となります。このたび編纂 された私の英文メッセージ集、eBook「文明の危機」は福島の実態を伝えることに出来るだけ留意しており、ご報告した通り内外で反響を呼んでおります。福島隠しへの挑戦となり得ましょう。
eBook「文明の危機」
http://kurionet.web.fc2.com/Crisis20161208.html 福島の現状は深刻です。大飯原発差止原告団団長の京大名誉教授からこのほど下記の見解が寄せられました。
1.東北地方太平洋沖地震(Mw9.0)で割れ残った領域の動きが心配です。この地震では南北約500km、東西約200kmの領域が一度に破壊しまし た。しかし海洋性の太平洋プレートと陸側のプレートがせめぎ合っている場所で、房総沖と十勝沖が割れ残っています。十勝沖はさておき、房総沖で海溝型巨大 地震が起これば、首都圏も津波の被害を受けるでしょう。そうなると日本の経済は壊滅状態になります。そうなると、「東京オリンピック」どころではなくなり ますね。
2.福島第一原発に関して、私が一番憂慮しているのは2号機の問題です。1,2,3号機が稼働しておりましたが、1,3号機は建屋が吹っ飛び、放射性物質 を大量に吐き出しましたが、2号機は陰に籠っています。メルトダウンからメルトスルーした燃料屑が現場にそのまま残されています。福島第一原発が、そう遠 くない時期に震度7の揺れに見舞われることは間違いないと思いますので、そのときに2号機がどうなるかを考えると、身の毛がよだつ思いが致します。
この見解に関して鳩山友紀夫元総理より下記のコメントが寄せられました。
「京大の名誉教授のご指摘はまさにその通りと存じます。先日の東日本大震災の余震を経験して、さらに巨大な地震がこの地域を襲う可能性を無視してはなりま せんし、そのときには2号機が最も深刻でしょう。私どもは当初から、石棺の必要性、錫などの金属の投入を主張しておりました。周囲を凍結させるなどと言っ た全く不可能な手段がなぜ採用されたのか分かりませんが、東京オリンピック/パラリンピックを行なう余裕があるならば、そのお金を全て原発事故の対策に投 入すべきです。そして、放射能汚染の深刻さを日本国民に知らせるべきです。甲状腺癌の広がりの事実を知らせ、国としてしっかりとした対策を講じるべきで す。世界の人々は知っているのに、日本国民に真実を知らせない政府の罪は極めて重いと言わざるを得ません。」
このように2号機問題は、世界の耳目を集めた4号機危機に劣らない深刻な緊急課題と思われます。福島事故処理は東京五輪どころではないと思わせるこうした課題が山積しております。
貴総理のご指導とご尽力を心からお願い申しあげます。
敬具