拝啓
このほどフィナンシャル・タイムズ記者及びインドの著名な記者の取材を受けましたが、国際社会が福島の現状に懸念を深めていることが看取されました。
こうした国際社会の動きは日本の福島事故への対応ぶりと東京五輪準備の今後に大きな影響を及ぼすものと思われます。この動きを知る上で極めて参考になる下記資料2点をお届け致します。
1.IPPNW/(核戦争防止国際医師会議)/PSR(社会的責任を果たすための医師団)による報告書の日本関係部分の邦訳
IPPNW/(核戦争防止国際医師会議)/PSR(社会的責任を果たすための医師団 )による報告書 引用元:IPPNW PSR
「5 Years Living with Fukushima ( フクシマと共に生きる5年間 ) 」から2016年3月、IPPNWドイツ支部 とPSR 米国支部が共同で 「 5 Years Living with Fukushima ( フクシマと共に生きる5 年間 )」と題された報告書を公表した。
報告書は、フクシマ原子力災害を巡る4つの問題点を呈示している: 1. いかにしてこの原子力災害が起こったのか? 2. どれだけの量の放射能が放出されたのか? 3. どのような影響が環境に及ぼされるのか? 4. 予測される、被災住民への健康影響とはどんなものか?
この重要な報告書の結論とも言える「IPPNWとPSRによる日本へうの勧告」の部分を抄訳をお届け致します。 原文 (英語) http://www.psr.org/assets/pdfs/fukushima-report.pdf
IPPNW と PSRによる日本への勧告 (仮訳:グローガー理恵) 1.フクシマ災害によって影響を受けた人々/被災者が持つ人権である「健全な環境の中で生活し健康に生きられる」という権利 ─この事こそが、フクシマ災害に関するすべての議論および政策決定における中心事項となるべきである。そのためには、被災者集団が意思決定プロセスに効力 的に参加するということを確実にしなければならない。
2.被ばくした、または、これから被ばくする可能性がある ─ 原子力災害の事故処理/クリーンアップ作業員全員 ─ に信頼性ある正確な線量計が与えられなければならないし、彼ら全員が定期検診を受けなければならない。また、定期検診は原子力産業と関わりのない独立した 医師によって行わなければならない。このことは、下請け業者に雇われた労働者、臨時労働者およびボランティアにも適用される。今後は、東電のような原発運 営者が調査やデータに影響を及ぼすようなことがあってはならない。
3.日本政府は、チェルノブイリ事故の後に旧ソビエト連合によって設定された登録制度と同様に、フクシマ核災害の結果として放射能被ばくした全てのヒバク集団を登録する制度をつくり、その登録作業を持続していかねばならない。この登録の対象者となるのは: サ 放射能汚染区域からの避難者および汚染区域にまだ住んでいる住民 サ 福島第一原発現場の作業員およびクリーンアップや除染作業に携わる人たち
4.汚染地域からの住民には、まだ汚染されている地域へ帰還するのか、それとも、汚染のない地域へ移住するのかを自分たちで決めることができる” 決定権利 “ が与えなければならない。移住することを決めた場合には引越し代や経済的援助が提供されなければならない。
5.避難した人々を汚染地域に強制帰還させることはストップされなければならない。とくに、人々が放射能汚染した自分たちの故郷には戻りたくないというのに、彼らへの経済的援助を打ちきることで帰還を強いるようなことがあってはならない。
6.原子力災害による影響についての疫学研究調査が実施されることを確実にしなければならない。また、被ばくした人々全員のために無料の健康診断や 治療が提供されねばならない。日本国民に及ぼされる健康上のリスクについての評価は、原子力産業やその政治的支援者たちとは利害衝突のない独立した科学者 たちによって、なされるべきである。
7.多量の放射性降下物が太平洋を覆ったのであるから、日本および米国を含む国際的海洋研究機関による海洋生物への影響についての組織的な研究調査が行わなければならない。
8.原子力災害によって及ぼされる影響/結果について報告することやその研究調査が、日本で新しく制定された”特定秘密保護法”のような国の抑圧によって妨げられるようなことがあってはならない。
9.福島原発メルトダウンの後、全ての原発が停止された数年間の間、日本は原子力発電なしで電力不足の問題もなくやってきた。しかし今、原子力ロ ビーは、大多数の日本国民の意思に反して、原子炉を再稼働させようとしている。日本は、50基の全ての原発を永久閉鎖して、その代わりとして、再生可能か つ持続可能なエネルギーの生産に投資をすべきである。日本は、ソーラーパワー/風力/水力/地熱エネルギーのような再生可能エネルギーを開発できる、と同 時に、省エネルギー/エネルギー効率対策にも取り組んでいける、ずば抜けた潜在的能力/可能性を持っているのである。
10.それまで、原子力ロビーが日本政治に及ぼす甚大な影響力および政界、原発運営者/原子力産業、原子力規制機関の間にはびこる汚職や癒着について調査 を行うことが必要である。そして、将来、フクシマのような大惨事が再び起こるのを防ぐために、このような汚職/癒着の横行に、事実上、ストップをかけなけ ればならない。 |
2.多大な反響を呼んでいるRobert Hunziker記者から寄せられたラジオ・インタビューの要旨
Robert Hunziker記者から寄せられたラジオ・インタビューの要旨 引用元:ラジオ インタビュー
福島原発の人事故後日本ではすべて終わり事故などなかったかのよう。本当にそうなのか?
・2012-13年に重大な隠藤があつた。 1 朝日新聞の調査チームが福島の問題点をスクープ続発、突然解散させられた。 2 秘密保護法制定で報道は投獄の危険、 3 東京五輸招致が福島事故全く問題なしとの前提で決定。 実態は600トンの溶融燃料がメルトダウン。Gregory Jaszkoによるとどこにあるか誰もわからず回収は全く手つかず。これは現代最大の隠議事件(Biggest cover-up of our lifetime)。
・双葉町長は福島で多くの死者が出ていると215年9月に公言、本下さんという人は原発の作業で亡くなつた人の遺骨をいくつも埋葬したと証言、東電は作業 を下請けにやらせ、その死は報告しない。Free Pressのメイコ・アシドリ(おしどリメイコ)によると東電の元看護士が多くの報告されない放射能関連死があると話したことをドイツで証言している。日 本は欧州で民主的で自由な国と思われているが実態はここ数年で福島の実態を隠蔽するようになつた全体主義の国(totalitarian state)だという。 日本に長く住みホームレスを助けてきた宣教師Dr. Jass Parksが福島支援に行き癌で亡くなつた。これは現在進行中の災害で、何年も続く。 チエルノブイリについて書いたFukushima Cover-upの中で①2016年4月17日のUSA todayにChernobyl Legacy: Kids’ bodies ravaged by disasterという記事が240万人がウクライナで健康省に登録され、そのうち50万人近くの事故当時生まれていなかつた子供たちに健康被害が出てい ることを報じている。Dr.Helen Caldicottも世代を超えた(trans-generational)放射能の悪影響を論じ、放射能による生物への悪影響は一般に知られているのに 日本政府はどういう訳か人間は別だと考えたいらしい。
・福島では16万人が避難し補償を受けているが汚染土の除染などできていないのに除染が済んだとして政府は帰還を進めている。政府のいうように除染などで きていないことは断言できる。この状況はグリーンピースのYouTubeで見ることができる。3~ 4万人の作業員が除染作業をしていることは称賛に値するが、表土を肖1り膨大な数のltの黒いパッグに詰めてもホットスポットも多く、福島の50%を占め る森・山口丘口谷・牧場で全く手つか ずである。水源ダムの湖底は高濃度の、3~7千ベクレル(飲料水の日本の基準は200ベクレル/kg)もの放射能が蓄積しているが上層の汚染が低いとして 飲料・農業用水に使つている。チェルノブイリは1、000平方マイルをおそらく100年にわたり閉鎖した。同じような広さを開鎖すべきだ。
メルトダウンで所在もわからないCoriumが地中で放射能を出し続けており何が起こるかわからない、人類の歴史で経験したことのない実験だ。全体主義の 政府が人命を弄んでいる。(It’s playing with fire. lt’s a totalitarian government. lt’s playing with people’s lives.) ・汚染水も処理できずにタンクが増え続けている。凍土壁を作つたが効果なく過去5年で太平洋全域に流出している。 ・2020年の東京五輸で福島でもゲームとの話。もう大丈夫だとの10Cはなぜ東京を選んだのか。 ・日本でも小泉元首相・菅元首相・五輪返上を唱える村田大使がいる。一匹狼(some lone wolves)が批判していることは興味深い。 ・日本の財政も原発事故・財政赤字の二つの面から危機的、破産の可能性もある。日銀が国債を半分以上購入したが全部買うまで突き進むのか、三つのChina Syndromeで全面的メルトダウンになつて破滅するのかだろう |
このように国際社会は福島の危機的状況を的確に把握しており、東京五輪が依って立つ“Under control'の主張が今なお再検証されずに放置されていることに、当然のことながら批判を強めつつあります。五輪関係者はこの主張をどう捉え、どう対 応するのか問い糾されるに至ることは時間の問題だと思われます。
東京五輪がここまま開催されるに至ると考えることは到底理解できない所以です。
貴官房長官のご指導とご尽力をお願い申し上げます。
敬具