皆様
先日に朝日新聞の書評で紹介された「反東京オリンピック宣言」の反響が拡大しております。
反東京オリンピック宣言 [編]小笠原博毅、山本敦久 引用元:朝日新聞書評 2016.11.20.
大衆が台頭した19世紀のイギリスで、J・S・ミルは「世論の圧制」を打破するため、「人々が普通でないということこそむしろ望ましい」と述べた。だが同時に「今や敢(あ)えて奇矯ならんとする者が極めて稀(ま)れであるということは、現代の主たる危険を示すものである」とも述べている。 ミルの指摘は、いまの日本にそっくり当てはまる。2020年の東京オリンピック開催にどれほど問題が起ころうが、開催の返上や中止を訴える声はあまり聞こえてこない。そう思っていた矢先に本書が出た。論者によって力点は異なるにせよ、オリンピックが政治と結び付き、ナショナリズムの高揚をもたらすことに、多くの論者が問題の核心を見いだしている。 では「非国民」の書かと言われれば決してそうではない。オリンピックの裏で「フクシマ」が忘却されようとしていることを告発する本書の論文からは、パトリオティズム(愛国心)が感じられるからだ。
[評者]原武史(放送大学教授・政治思想史) |
「東京五輪はおことわりだ」――。22日、都内で東京五輪開催に反対するデモと集会が行われた。デモには140人(主催者発表)が参加。JR原宿駅から建設中の新国立競技場周辺を行進した。
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/198062 主催者のひとりで、「反東京オリンピック宣言」の執筆者のひとりでもある一橋大大学院の鵜飼哲教授(フランス現代思想)はこう言ったと伝えられております。
「政府や都は16年の五輪開催に落選しても、20年開催に再び手を挙げ、ものすごく無理をして東京五輪招致にこぎつけた。なぜか。政府は福島原発事故以降 の状況を深刻な危機だと感じていた。そこで五輪開催で、危機を突破しようと考えた。あろうことか、“復興五輪”と銘打っている。実際は事故を忘れさせる “復興妨害五輪”だ」
同教授は「反東京オリンピック宣言」の冒頭部分で、2012年8月銀座で行われた女子サッカーチームの凱旋パレードは反原発運動から人々の耳目を逸し、 五輪招致に向けて都民の支持率をアップさせるというメディアの動員戦略が働いていた旨指摘し、東京五輪が原発問題と表裏の関係にあることの論証を試みてい ることが想起されます。反論できません。
この期に及んで原発を稼働し処分不能の放射性廃棄物を増やすことの罪深さを糾弾する動きは内外で確実に強まるものと思われます。
世界中が事実に反すると認める”under control'の主張を放置することは五輪関係者はもとより国政に関わるもの全ての怠慢として糾弾されてしかるべきことです。
その間放射能汚染は拡大を続け、地球環境を静かに破壊しているのです。国内の放射能汚染地域の拡大が深刻に憂慮されます。
Bach IOC委員長など五輪責任者に対しこの主張をどう捉えているかにつき公開質問状が発出される可能性が予見されます。この主張が明確に否定されれば東京五輪は失格となり返上を余儀なくされる筈です。
皆様のご理解とご支援をお願い申し上げます。