我々の世代では「中野公会堂」と言った方がピンときますが、「なかのZERO 大ホール」が音響や照明を一新してリニュアル・オープン。その記念コンサートとして『仲道郁代 ピアノリサイタル~3台ピアノの響きとともに~』が催されました。

3台ピアノとは、区が所有するスタインウェイ、ベーゼンドルファ、ヤマハのフルコンサート・ピアノ。これを第一部では、仲道郁代が同じ曲を3台で演奏し、その違いや特色を探ろうという試み。第二部では、それぞれのピアノのイメージに合った楽曲を仲道郁代が選曲し演奏しました。
ヤマハベートヴェン:ピアノ・ソナタ第14番 嬰ハ短調op.27-2「月光」
ベーゼンドルファショパン:12の練習曲op.10第3番 ホ長調「別れの曲」
ショパン:12の練習曲op.25第1番 変イ長調「エオリアンハープ」
ショパン:バラード第1番 ト短調op.23,
スタインウェイシューマン:アベッグ変奏曲
ブラームス:第2番間奏曲 イ長調
シューマンとブラームスをベーゼンドルファでと期待したのですが、あにはからんやショパン、しかしこれも落ち着いた雰囲気でかえって良かったかも知れません。ヤマハ、スタインウェイに比べて煌びやかさより、重厚で落ち着いた音色を追い求めているようです。大半のピアノが88鍵に対して低音部に9鍵プラスして97鍵で、自重もおとな一人分重いとのこと、それらも影響しているのでしょう。今回はベーゼンドルファをじっくりと聴き比べられたことが、何よりもの収穫でした。

仲道郁代の演奏は、ホールのせいかペタリングのせいか分かりませんが、音のかぶり気味が少し気になりました。今回のプログラムの中で、ショパンのバラードは僕好みの良い演奏だったと思います。