教え子との付き合いが わたしの喜び、生きがい 内山 芳雄 先生
「背には時代を負い、手には友を抱き、大きな輪をつくる、みんなひとつになって‥」 なんと素敵な詩だ。時代を背負ってたつ意気込みと暖かな友情。それは生徒たちへの大きな期待と希望に満ちている。この詩に躍動 するメロディーがついた中野十中の校歌ほど優れたものを知らない。一般的な校歌の多くは。山や川、自然を讃えても、そこに生きて いる生徒達の姿が見えない。これほど愛情を感ずる校歌を作られた谷田先生と中村先生に私まで感謝じたい。 十中を去って満四十年、七十を越えて、あの頃のよき時代が鮮やかに蘇る。長い教師生活でどれだけの卒業生を送り出したごとだ ろう。そのうち、十中の卒業生達はしばしば同窓会を持ち、呼んでくれる機会が多いので忘れがたい。 私は4期、6期、8期の皆さんを卒業生に持っている。還暦を迎える4期生とは数年前十中近くの料理店で久しぶりの会を持ったが、周辺のあまりの様変わりにはお互い驚いたものでした。 6期生は私にとって唯一の経験である2、3年同じクラスの持ち上がりだった。当然ながら彼等の結びつきは強く、同窓会が頻繁に 行われている。このクラスの一人は級友の妹と結婚した。私か頼まれ仲人をやった。 当時我が家に長女が生まれ、クラスの子達が遊びに来てはあやしてくれた。今こういう担任と生徒との付き合いはできないようだ。 卒業4年後、6期生の最初の同窓会には早くも赤ちゃんを抱いた女子がいて、みんなで回し抱き?をした珍しいこともあった。 8期生とはもう二十年も続く同期会のたびに招かれ、感謝しながら出会いを楽しみにしてる。幹事さんの努力で4年ごと確実に聞か れている。珍しい例で、出席者も多い。 4期生で隣の組にいたKさんは3年になって転校して行ったが、妙な縁でずっとつきあっている。画家の夫を助けて外国へ出かけ ることも多く、知人もおり、国際的な活躍をしている。彼女の結婚式にスピーチをやらされたが、若さ日の池辺晋一郎が新夫のために 作った曲を彼自身の指揮で演奏した。ご主人の親友とは後で知った。中野十中での出会いが、こういう個人的な付き合いを生んでいる場合が少なくない。ここではもはや師弟の関係ではなく、むしろ、私か学んでいるのだ。 ともあれ、十中は私にとってよき時代であった。しかし、いま思うと全く未熟で、生徒の気待ちを理解してやることも出来ず、教 え方も独りよがりの押しっけという教師だった。恥ずかしい限りだ。改めて謝りたい。 十中創設時代から活躍された先生方で亡くなられた方が少なくない。同窓会でお顔を見られなくて、淋しい気持になるのはあなた方 だけではありません。
(開校50周年記念誌より)
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