チケットはシロツメクサ(クローバー)の葉っぱ
午後の保育園。おやつも済んで夕方のひとあそび、この園は団地と隣接していますので、天気の悪くない日は狭い園庭を出て、団地の中の広場であそびます。 今日も子どもたちは広場であそびました。 3歳クラス(幼稚園でいうところの年少組)はあそびの選択肢に三輪車が入っている日でした。 18人の子どもたちに対して三輪車は10台。全員が一度には乗れません。 三輪車に目もくれず他のあそび、例えばダンゴムシ捜し、鬼ごっこ、かくれんぼ、サッカーに夢中な子供はそれでよしとしますが、たまたま8台の三輪車と三輪車あそびをしたい10人の子どもがひしめき合いました。 目ざとい子は、最初っから一目散に三輪車に飛びついて(遊びの始まりは早いもん順でもあるのです)全力でペダルを漕いで自由闊達に広場のぐるりを走り回っています。 出遅れた子や別のあそびの途中で自分のやっていた遊びを三輪車遊びに鞍替えしたくなった子は「あたしも乗りたい」と大人に手助けを求めてきます。 ジュンバンコで変わってくれそうな子に個別に声をかけてみたりしましたが、この日の三輪車遊びは今があそびの最高潮。快く代わってくれそうな機運が生まれません。 担任は一計を講じました。 桜の大きな木の周りをロータリーにしてぐんぐん走り回る三輪車の渦に関所を設けて交通渋滞個所を作りました。「○ちゃんも三輪車乗りたいんだって、誰か代わってくれる?」と個別にではなく子どもたち全体に向かって声をかけました。 ハンドルを離し座席から降りた△ちゃんに「ありがとう、はい、きっぷ」といってシロツメクサの葉っぱを一つ手渡しました。次々順番交代が成立していきました。 交代が成り立つたびにもらったはっぱを回数券にして使いまわす子もいれば、整理券のようにして一回こっきりで処分する子もいればいろいろなのですが、「ジュンバンコで代わって」という言葉のみでなくこれに『シロツメクサの葉っぱ(クローバーの葉っぱ)』という切符を添えることで一枚の葉っぱが心の切り替えスイッチになりました。 なかなか鮮やかな保育の展開だなと学ばされました。
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