別添の朝日社説は7500億円(TBSテレビでは8000億円)規模の東京五輪の運営経費の分担が依然未定という醜態を取り上げ組織委員会及び森会長を遂に厳しく批判しております。
日本担当のコーツ国際オリンピック委員会(IOC)副委員長の更迭の流れに沿うものといえます。
昨日ある国際会議でお会いした日本のオリンピック関係のある民間組織の責任者ですら立ち話の際、福島を抱えながらの五輪招致そのものに疑問を呈しておりました。
福島県庁も危機感を抱く2号機問題は日本の最優先緊急課題の筈です。専門家により可能性が高いとされる震度7級の地震の発生に対する備えは皆無です。これに全力投球するという大義名分での五輪返上ならば国際的に理解が得られます。不名誉ではありません。
専門家が求めている燃料プールの燃料棒を空冷ドライキャスクに収容することなど全ての原発に対して取られるべき安全対策もな安全保障対策として東京五輪に優先されるべきです。
東京五輪の醜態が極限さらけ出されて、福島隠しは挫折したと見られております。
日本の将来に関わる2号機問題へ対応につきご理解とご支援をお願い申し上げます。
村田光平
(元駐スイス大使)
(社説)五輪経費分担 危機感がなさすぎる 引用元:朝日新聞 2017.5.13.
一歩前進ではある。だが、開催まで3年という時点でなお続く混迷に暗然とする。
東京五輪の経費分担問題で、小池都知事が都以外につくる仮設施設の整備費500億円全額を、都が負担する方針を表明した。とはいえ、これで事態が一気に進むとはとても思えない。
セーリング会場の江の島などをかかえる神奈川の黒岩知事の言葉が象徴的だ。「小池知事に安心して下さいと言われたが、何をもって安心なのか」
決着したのは仮設施設の扱いだけで、それ以外の運営経費をどうするかは依然未定だ。開閉会式や暑さ対策などもふくめ、最大7500億円にのぼる。
セーリングでいえば、漁業補償や1千隻を超す船の移動・係留の費用がかかる。バスケットボール会場となる「さいたまスーパーアリーナ」は、11カ月間の休業を求められている。その期間の当否や休業補償をめぐる検討も手つかずのままだ。
経費分担の協議は昨春始まる予定だった。その後、都知事の交代などがあったとはいえ、小池知事が「仮設分について3月中に負担の大枠を決める」という約束を守らなかったことが、スケジュールをさらに遅らせ、関係者の不信を増幅させた。
組織委員会の罪も重い。
開催都市である都、政府、自治体、競技団体の間を調整し、五輪の準備を主導するのが組織委の仕事だ。収支の折り合いをつけ、場合によっては、当初計画の変更を求めて国際オリンピック委員会や国際競技団体にかけあう窓口にもなる。
にもかかわらず組織委の森喜朗会長は、小池知事や日本オリンピック委員会を全面的に批判する著書を先月出版し、世間を驚かせた。今回の都の方針表明についても、「遅すぎる。500億円が空中で回っていたかのようだ」と述べた。一緒に準備を進めていこうという姿勢を、感じ取ることはできない。
こんな様子で、組織委トップの任にたえられるのか。もはや体制を抜本的に見直すべきときではないか。
政府の動きにも疑問が多い。
この間、丸川五輪相の存在感は皆無で、安倍首相がいきなり登場して調整を指示したと思ったら、直後に小池知事が全額負担を表明した。都議選を控え、どう立ち回れば自分たちに有利か、首相官邸と知事との間で思惑が交錯していたように映る。
五輪のイメージを傷つけ、人びとの間に嫌悪と不信を植えつける政治利用というほかない。
東京五輪を、この大きな危機から救い出さねばならない。 |