小さな幸せの作り方
◆上手に悩む 話は37年前にさかのぼります。かつての職場で、同僚がポロリと悩みを聞かしてくれました。 『近々結婚しようと思っているんです。その前にたばこやめようと思ってんですけどやめられなくて…』彼にしてみれば当時私が17年間吸っていた煙草を3年前にやめたことを伝え聞いて知っていたので世間話のついでにタバコを止める秘訣を私に求めてきたのです。 彼は煙草をやめられなくて悩んでいるというのですが、よくよく話を訊いていくと彼は『悩んでいる』のではなく『困っている』のだということが解りました。 『悩むことと困ること』は一見同じことのように見えますが実は本質的なところで全く別物だという気付きをして間もない頃でしたから私流の気づきを説明してみました。 困っている限りはタバコはやめられないと思うよ。なぜなら問題解決を先送りしていろいろ言い訳をならべ立てているから。本気で止めたいと悩めばきっと解決方法にたどり着けると思うよ。自分の場合は『やめよう』と思ってもやめられなかったから『やめよう』と思うのをやめたこと。「(煙草を)吸おうと思えばいつでも吸えるけれどもとりあえず今は喫煙の『休憩中』というように考え方を変えてみたこと」そのような心構えにアレンジして暮らしているうちに今日にまで至っている云々。参考になったのかどうなのかは問いませんでしたが半年後、彼は喫煙せずに日々を過ごしていました。 そして彼がめでたく結婚して数年後、「あれ、たばこやめたんじゃなかった?」と問うと「一ぺんはやめましたけどね、時々ストレスが溜まっちゃってね、また戻りました」と彼は実にうまそうにタバコをくゆらせていました。無理して禁煙しているよりも、たまに喫煙していて幸せならそれはそれでいいですもの。
◆損か得か おなじものが低価格で購入できるのならそっちで買いますよね。町中のあちこちに据え置かれている飲料水の自動販売機。近頃は『プライスダウン』などとステッカーが貼ってあってそのうちの何種類かが100で買えるのです。これはちょっと魅惑されますね。どこの自販機はどれが100円で買えるとか買えないとか記憶のフォルダーにインプットしておきます。 ある時たまたま気が付きました。 ある漬物工場の道路側に面した外壁に据え付けられているその自動販売機はどの飲み物も90円で買えるのです。だものですからたまたまその道を通るときは立ち寄ってその時の気分で適当な炭酸飲料を買います。夏日のような今日の昼前頃、帰路この自販機前を通るよう道を選び車を走らせ、一つ買いました。まず100円玉を一つだけ入れて、さて何を買おうかなと物色します。いつもだったら選ばないドリンクが二種類あったことに気が付いて、迷いに迷って左側の商品のボタンを押して、ほくほく車を走らせ、一つ目の信号に引っかかってはっと気が付きました。「あ、10円のおつり取り忘れた」しょぼん。でも次に飲料水を買った人はおつりが20円あってちょっと幸せって思うでしょう。その人にちょっぴり幸せをプレゼントしたと思えばこれもまたちょっと幸せ。
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