17年前の原発事故の発生に言及した別添の年頭所感を読んで、我ながら旧態依然の現状に驚いております。
所感では、市民科学者の故・高木仁三郎さんが、日本国民への最後のメッセージの中で、既に看取されるに到った原子力時代の末期症状の下で「巨大な事故や不正が原子力の世界を襲う危険」と「放射性廃棄物が垂れ流しになっていく」ことへの危惧の念を表明されたことに言及しております。
また、「隠蔽のみならず改ざんにより責任を回避してきた原子力産業」の実態を十分承知しながら原子力推進を続ける日本の関係者全員に対し、高木仁三郎さんが「破局的な事故を待って思い知るのか」と叫ばれている姿が、彷彿と目に浮かぶと記しました。
福島事故の教訓を学ばず、再稼働を進める日本の現状は旧態依然であることに衝撃を覚えます。
もし高木さんが生きておられたら震度7級の地震の発生による2号機建屋の崩壊がもたらしうる大惨事の対策を怠る関係者全員に対して、同様の警告を発するに違いないと思われます。
しかしながら救いとなるのは、当時と異なり国民の大半が脱原発を支持していること、不道徳な原子力の全方位の破壊力に世界が目覚めつつあることです。皮肉にも日本は福島事故と東芝の経営危機により意図せず脱原発の促進に貢献し出しております。
新たな時代の到来を予感させるに至っている日本の現状は、すべての悪事は露見するという天地の摂理(歴史の法則)を実感させており、これが国民の良識の存在をも実感させております。
今後とも希望を持って初志貫徹のため微力を尽くす所存ですので、一層のご理解とご支援をお願い申し上げます。
2001年 年頭所感 引用元:村田光平
日本は一体どうなってしまうのでしょうか。 チェルノブイリの大事故の後もその教訓に学ぶことなく脱原発の世界の潮流に反して、二十基以上の原発を増やし、東海村の臨界事故から学ぶこともなく、原 子力の推進の政策を維持し、東海再処理工場の運転の再開、「もんじゅ」の運転再開への動き、「原発立地振興法」の成立などを進める日本はどうなってしまう のでしょうか。 その可能性がもはや否定し得ないチェルノブイリ規模の原発事故が万一日本で発生するならば、旧ソ連のように強権的に90万近くの事故処理要員を動員する体制にない日本はどうなってしまうのでしょうか。その結果は世界にどう及ぶのでしょうか。 1か月ほど前に、欧州数カ国を訪れて強い印象を得たことは、我が道を行く日本の原子力政策に対する批判が強まりつつあるということでした。 最近逝去された市民科学者の高木仁三郎さんは、日本国民への最後のメッセージの中で、既に看取されるに到った原子力時代の末期症状の下で「巨大な事故や不正が原子力の世界を襲う危険」と「放射性廃棄物が垂れ流しになっていく」ことへの危惧の念を表明されております。 これまで起こってはならない筈の数多くの原発事故が発生し、「隠蔽のみならず改ざんにより責任を回避してきた原子力産業」の実態を十分承知しながら原子力推進を続ける日本の関係者全員に対し、高木仁三郎さんが「破局的な事故を待って思い知るのか」と叫ばれている姿が、彷彿と目に浮かびます。 日本のため、そして世界のために皆様と一緒に真剣に対策を考えていきたいと切に願っておりますので、どうか宜しくご協力をお願い申し上げる次第です。 |
村田光平
(元駐スイス大使)