知人から寄せられた 斎藤貴男氏の五輪返上論を別添お届け致します。
大変良く問題点を網羅しております。
福島原発事故対策、熊本復興、貧困対策など緊急課題が山積する中で、予算膨大な五輪を開催することが完全に理に反していることは明白です。
大新聞四紙がスポンサーとなり「飼い殺し」の状態で五輪サポートに回っていれば、理を通すことは不可能だったでしょう。
大手四紙には、それぞれ関連するテレビ放送網があり、かつ新聞・テレビのニュースに頼っているネットニュースにもつながっているからです。
しかし、「ゲンダイ」系や東京新聞などは反五輪の論陣を張っており、それがネットで広く拡散されていますし、健全な市民感覚もネットメディアに乗って日々増殖し続けています。本返上論はその証左です。
国際オリンピック委員会(IOC)に対して“under control”の再検証を求め続ける国際社会の声もバッハIOC会長の最近の発言(「五輪は政府・スポーツ界、財界などが結託して公金を浪費する事業だと市民から懐疑的に見られている」)を生むに至っております。
嘘に立脚した東京五輪返上の決定は不可避と思われます。
老子の「天網」の教えです。
ご理解とご支援をお願い申し上げます。
村田光平
(元駐スイス大使)
東京五輪のスポンサー契約へ 引用元:斉藤貴男「国民のしつけ方」インターナショナル新書
● 大会のメインスタジアムとなる新国立競技場建設の総工費が招致段階の倍近くに及ぶとわかったことへの批判を受けて、白紙撤回された(2015年7月)。 ● アートディレクターの佐野研二郎氏のデザインで決定していた大会エンブレムが剽窃(ひょうせつ)の疑いを逃れられず、これも白紙撤回(同年9月)。 ● 白紙撤回された旧案に替わり、新たに採用された新国立競技場計画の設計図には聖火台 を置く場所が用意されていなかったことが明るみに出る(2016年3月)。 ● 東京招致をめぐる贈収賄の疑いで、フランスの検察が捜査を進めていると英紙『ガーデ ィアン』が報道。実行の主体は大手広告代理店の電通で、金額は総額で約130万ユーロ(当時のレートで約Ⅰ億6000万円)と伝えられ、国際的なニュースになった(同年5月)。 次から次へと浮上する、2020年東京五輪をめぐる不祥事の数々。招致決定当初は約3000億円と広報されていた大会運営費も、すでに15年11月の段階で東京オリッピックーパラリンピック大会組織委員会が六倍の約1兆8000億円に膨れ上がるとする試算を行い(NHKが報道)、けれども16年3月には大会組織委の森喜朗会長(元首相)がBSフジの番組で「約5000億円」だと公言。同年9月ともなると、東京都の調査チームが「3兆円を超える可能性がある」という報告書をまとめるに至った。 3000億円↓1兆8000億円↓5000億円↓3兆円超……。見積もりの乱高下を、新聞もテレビもそのたびに報じはするけれど、本格的な調査報道が試みられたことはない。 2016年7月の東京都知事選で小池百合子氏が当選して以降は極端に五輪絡みの報道量が増えたが、もっぱら彼女と森会長の対立を面白おかしく伝える道具立てにされているだけだ。五輪予算そのものには計上されない便乗予算まで含めたら、天文学的な無駄遣いとなるのは必定である。 どの事態をとっても、開催国としての資格と能力を問われかねない緊急事態であるはずだ。にもかかわらず、何もかもが何となくウヤムヤにされていき、実質的に責任を取った関係者が一人もいない。世間が勝手に引責辞任だと受け止めたのは、この間の内閣改造で下村博文・文部科学相が留任できなかったのと、新国立競技場計画を取り仕切っていたとされる河野一郎・日本スポーツ振興センター(JSC)理事長が再任を果たせなかったことくらいか。ただしその後も下村氏は自民党の要職を歴任し、河野氏は大会組織委の副会長ポストに留まり続けている。大会組織委の最高責任者であるはずの森会長や武藤敏郎事務総長(元財務事務次官)の地位は揺らぐ気配すらない。人々は彼らの専横に慣らされ、この国ではいつの間にか、問題など何も起こっていないことになった。
〈中略〉
五輪報道の何もかもが奇妙である。いや、奇妙だと信じていたかったが、それは叶わなかった。奇妙に見えるのには明白な理由があった。 朝日、毎日、読売、日本経済の大手四紙が2020年東京五輪の「オフィシャルパートナー」になっていたのだ。大会スポンサーとしてJOC(日本オリンピック委員会)の公式呼称・マークの使用や、イベントのタイアップなどの権利を行使する。契約期間は2016年1月21日から20年12月31日までで、四紙は契約が発効した翌日(1月22日)付の朝刊で一斉に社告を載せていた。
〈中略〉
ただし四紙だけは特別扱いだ。一業種一社のスポンサーがIOCの原則とされてきたは ずなのに、これが崩された上、スポンサー料を分け合う特例まで認められた。 ところが、各紙の社告は他紙については伝えなかった。四紙まとめての特権を詳細に報じたのは、夕刊紙『日刊ゲンダイ』(2016年1月29日付)だけである。同紙によれば、当初は日本新聞協会べースで業界全体の契約が目指されたが、加盟社の足並みが揃わず、まずは手を挙げた四紙で組む形に。原則破りの特例は大会組織委がIOCに掛け合って了承を得たそうだ。今後の契約を検討中の新聞社も複数あり、最終的には新聞業界全体で100億円を上回るスポンサー料が支出されることになる見通しという。 具体的にはワッラック下の「オフィシヤルサポーター」になる交渉を、中日、北海道、西日本などのブロック紙が進めていると伝えられるが、その過程で、実は深刻な騒動が勃発したらしい。 中日新聞社が報道内容の制約を契約の条件にするt外な要求を突き付けられたというのだ。飼喝したのは大会組織委の森会長である。同社が首都圏で発行している『東京新聞』はリベラルな紙面に定評のある新聞で、時に東京五輪に批判的な報道も試みる。そこで2016年2月に森氏が電通を通じて中日側に、「『東京新聞』を外して『中日新聞』とだけ契約したい」旨を申し入れた。大会組織委の武藤事務総長が中日側に森氏と小出宣昭社長のトップ会談を求める一幕もあったが、この席でも武藤氏は、「スポンサーが五輪を批判するのはおかしい」と発言したとされる。中日の小出社長は事実関係を認めた(『週刊新潮』2016年4月14日号)。 2017年3月現在、中日新聞社やその他の新聞社が新たに東京五輪のスポンサー契約を締結したという社告や報道は見当たらない。森氏の一件が影響しているのか否かは不明である。 |