暑中お見舞
暑中お見舞い申し上げます。 福島由来の放射能は、ついにカリフォルニアの山火事からも拡散されているとの情報が伝えられており衝撃を与えております。今や日本は核汚染を大気、海洋、地下水等々に拡散し歴然と核の加害国になっているのです。多くの国民は日本の最優先課題であるべき福島事故収束への全力投球に政府が乗り出すことを願っていると確信いたします。そのために不可欠な東京五輪の返上を求めることを非国民、裏切り者などと非難することはできません。「国を超えた公」という新しい視点(地球環境の保護び人類の福祉の保全)から理解することが求められると信じます。 国際社会も立ち上がりました。今年の7月には、核戦争防止国際医師会議(IPPNW)のドイツ支部が〝Tokyo 2020―The Radioactive Olympics〟(2020年放射能東京五輪)という声明を発表しました。IPPNWは1985年ノーベル平和賞を受賞した世界的に著名な組織です。
この声明文では、東京五輪の野球・ソフトボールの試合が福島県内で行われることや、年間20ミリシーベルト以下圏内への住民帰還が進められていること、さらに東京五輪のために120億ユーロ(約1兆600億円)を費やす一方で帰還を拒む住民への援助が打ち切られたことなどについて批判がなされています。 これとの関連で特に注目されるのは、小泉純一郎元総理と小沢一郎自由党代表が脱原発へ向けて協力・連携を確認したことです。特に小泉元総理は安倍総理のアンダーコントロール宣言を「大嘘」だと公然と非難しております。こうした動きは、福島隠しに利用されていると内外から批判され、原発と表裏一体をなすとすら見なされる東京五輪の返上に向けた第一歩になりうるものだと思われます。細川護煕元総理及び鳩山友紀夫元総理もこのような動きの「強力な理解者」です。 最近の日本では不道徳や無責任が蔓延していますが、人口に膾炙した老子の箴言「天網恢恢疎にして漏らさず」(天道は厳正で、悪事を働いた者には必ずその報いがある)が諭すように、天地の摂理(歴史の法則)は不道徳の永続を決して許しません。全ての独裁は必ず終焉せしめられます。新しい時代の到来の息吹が感じられます。 村田光平 (元駐スイス大使)
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