安倍総理あてメッセージをお届け致します。
東京五輪に関しては“under control”及び“7~8月が理想的”だとした「世界を欺く不道徳」が国際的には全く無罪放免にはなっていないことに十分留意する必要があることなどお伝えしました。
村田光平
(元駐スイス大使)
国際社会と福島 引用元:安倍総理宛メッセージ
安倍晋三内閣総理大臣殿
平成31年2月9日 村田光平 (元駐スイス大使)
拝啓
東京五輪に対する国際社会の懸念は拡がりを見せております。
2月3日付ワシントン・ポスト紙は福島第一原発の事故で一時は町民がゼロになった福島県浪江町で家族の離散が続く一方、家主を失い空家となった家々が次々と解体されている状況を伝えております。 東京五輪の福島隠しの限界を示すものとして注目されます。 2月1日付人民日報の記事は国際オリンピック委員会(IOC)のBACH会長に対する習近平主席の発言を伝えております。異常なまでに五輪の潔癖性を求めているのは仏捜査当局による本格捜査の対象となった東京五輪の現状についての的確な認識とその帰趨についての懸念がその背景にあるとの見方もあり、BACH会長に対する習近平主席の発言は「模範解答」だとしても、時宜を得た重いものがあると思われます。 東京五輪の野球・ソフトボール競技の一部を福島県内で開催することに対しては極めて厳しい批判が欧州の一部関係者から寄せられております。もはや放置できなくなりました。 2月6日付産経新聞は日本の捕鯨再開計画への抗議と結びつけた東京五輪ボイコットを求めるデモがロンドンで見られたことを報じ、注目されております。 東京五輪に関しては“under control”及び“7~8月が理想的”だとした「世界を欺く不道徳」が国際的には全く無罪放免にはなっていないことに十分留意する必要があります。これへの対応は緊急課題です。
貴総理の一層のご発展とご自愛をお祈り申し上げます。 敬具 |