お届けした「月刊日本」のインタビュー記事、その中での五輪返上は今からでも遅くはないとの指摘は反響を呼んでおります。
同記事で言及した17年前に発表した別添の「三方一両損」の方式による脱原発のヴィジョンに対して賛同のコメントに接しております。
特に注目されるのは経済界出身の傑出した知人から寄せられた別添の全面的賛同のメッセージです。
是非ご一致読願います。脱原発に関する世論の変化が如実に反映されております。
本28日、朝日新聞の報じた関電をめぐる不明朗な金銭接受は世論に計り知れない影響を及ぼすことでしょう。
村田光平
(元駐スイス大使)
脱原発への試案 引用元:平成15年11月7日 村田光平のメッセージ
脱原発への試案
1 「国策」転換を必要とする理由 (1)浜岡原発の異常性 マグニチュード8クラスの地震が予測される東海地域のど真ん中に、原子力発電所4基が建設され、さらに5基目が建設中という現実。地震学の権威である茂木清夫東大名誉教授および石橋克彦神戸大学教授は、すでに2000年7月、札幌で開催された国際会議において、原発震災による未曾有の破局の可能性につき、重大な警告を発している。
(2)六ヶ所村の異常性 六ヶ所村の下記のような動きは、青森県のみならず、日本全土にも影響を及ぼしうる重大な危険性をはらんでいる。 イ. 再処理工場 最悪の場合、原発1000基分という人間の想像をはるかに超えた事故となり世界の人口の半分近くの犠牲者を生むと言われている六ヶ所村の再処理工場に、最近300ヶ所余りの不正溶接が発見され、ズサンな工事の実態が世間を驚かせている。当局による監視の強化で済まされる問題ではない。 ロ. ITER(国際熱核融合実験装置) 六ヶ所村はITER(イーター)の誘致を決めているが、これに対しては、ノーベル物理学賞受賞者の小柴昌俊氏、およびマックスウェル賞受賞者の長谷川晃氏が、今年3月、連名で同装置が200万人を殺傷する可能性のあるトリチウムを使用することに言及しつつ、同誘致に絶対反対するとの嘆願書を、小泉総理宛に発出している。
(3)原発のズサンな管理体制 管理体制のズサンさを示す事例には事欠かない。最近、新聞各紙は原発の圧力制御室に多数の異物(ごみ)が放置されていたことを報じている。10月26日付毎日新聞は、東京電力、中部電力、中国電力の三社11基に、合計610個の異物が見つかった旨伝えている。原発のトラブル発生件数も激増しており、2000年度は経済産業省および文部科学省関係合わせて55件であったものが、2002年度は経済産業省関係のみで102件を数える。このように老朽化が進んだ段階で東電の不祥事を契機として「維持基準」が導入されたことは、国の管理体制に信を置けないと言わざるをえない。
(4)巨大地震発生に伴う原発震災の可能性 地震学者の多くは「大地動乱」の時代の到来を告げている。最近の東北地震は警戒地域ではない「空白地帯」が存在することを示すものであり、これにより「原発震災」発生の可能性は、日本中すべての原発について想定せざるを得なくなった。世界有数の地震国である狭い日本に、世界第三位という数の原発が存在すること自体、異常である。
(5)倫理と責任とに欠ける原子力 「原発大事故の発生はない」という根拠なき大前提により、地震の被害予測において原発を完全に無視しているのは無責任の極みと言える。旧ソ連はチェルノブイリ事故に際しては事故鎮圧のため90万人近くの人員を動員したが、日本にはそうした対策は存在しない。スウェーデンは事故を想定し、16歳以上の国民の協力義務を立法化している。 また、原発は正常に運転されている時も、原発での労働者や周辺の住民に放射能による被害を与えている。日本では、1970年から2000年までの31年間に、延べ140万人を超える被曝労働者を出している。その中には、帰国した外国人労働者は含まれていない。 人類は未だに核廃棄物の処理方法を見出しておらず、恒久的に有毒な物を後世に残すことは倫理の根本に反する。劣化ウランの武器への転用・大量使用と小型原爆の実用化に対しても、日本は非難の声をあげるべきである。唯一の被爆国として、日本は民事・軍事を問わない地球の非核化を世界に訴える責任と義務を有すると考える。
2 脱原発へ向けての具体的方策 (1)「三方一両損」の方式による脱原発のヴィジョンを打ち出すこと (一両の損) → (大きな利益) ・企業 脱原発に伴う経済的損失→日本経済の壊滅的打撃の防止 ・国 企業に対する補償→回復不能な未曾有の大災害発生から逃れる ・国民 電気料金の値上げ等、物質的不便→命・健康の損失等を防ぐ (2)原子力関係組織の抜本的改組 チェルノブイリ事故以来21基もの原発の建設を許した責任は重大である。 (3)独占的公益企業である電力会社のあり方の見直し 特に資金使途の管理強化 (4)核燃料サイクル政策の見直しに関する国会審議 同政策は国会審議を経ていない (5)原発建設および中間貯蔵施設に関する近隣県の決定参画の立法化 町長の権限見直 |
経済界出身の知人からの支援メッセージ 引用元:メッセージ 2019.09.24.
先日は「月間日本」をわざわざお持ちいただき有難うございました。 特集取材記事酷暑放射能東京五輪が危ない!「世界が危惧する放射能五輪」事前にたびたびメールで、ご主張、お考えを聞かせていただいてきましたが、こうして雑誌の特集記事として、じっくりと読ませていただくと、改めてテーマの深刻さ、奥深さを感じ取ることができます。
「政府が発令した『原子力緊急事態宣言』はまだ解除されていない。オリンピックが開催されることなど決して許されることではない」 ・「今からでも遅くない。“地球環境加害国日本”はオリンピックを返上し、福島原発処理に全力で取り組むべきである」には全面的に賛同します。 さらには、村田様のかねてからの提唱「二十一世紀は倫理と連帯に立脚し、環境と未来の利益を尊重する新しい文明を創設しなければならない」は素晴らしいと思います。
併せて、本間龍氏の①「授業に一環として、子供達がボランティアや不人気種目への観客として動員される危険にさらされている」 ②「電通による電通のための五輪」との指摘、警鐘は衝撃的です。
東京五輪開催は福島原発と深く関連するが故の深刻さ、政治権力が複雑に関与する重大な問題であるにも拘わらず、メディアの取り上げ方が希薄で、これこそ問題だと思います。あの「大東亜戦争」時の政府、マスコミのスタンス、そして、物事を正面から見ようとしない国民の目線こそ問題だと思います。 |
Bach ICO委員長宛メッセージをお届けいたします。
8月25日発出のBCC発信でご報告した著作「東京五輪がもたらす危険」(9月中旬発刊)の英文サマリーを編者の渡辺悦司氏からお送りいただきましたので、これを転送いたしました。同書の第一刷ははや売れきりのようです。
原子力緊急事態宣言が維持されていることから、事故以前に比べ20倍の放射線が許容され、国民の健康が脅かされていること、危険性が否定し難い状況下での五輪開催は倫理的にありえないこと、日本の名誉、五輪そのものの名誉が問われていることを指摘し、Bach 会長の危機ヘの真摯な対応を求めました。
村田光平
(元駐スイス大使)
Dear President Thomas Bach,
I hope you are in the best of health.
Please allow me to send you, herein attached, an important document which summarises a book published in Japanese last month.
The title of the book is 'Dangers to be Created by Tokyo Olympics---- Clear and Present Radioactivity and Health Damages'. The book edits articles submitted by 25 scientists,dictors,refugees from Fukushima,and opinion leaders.
The first edition is already sold out.
We cannot but be recalled that “the Nuclear Immergency Declaration” decreed immediately after the Accident is still maintained.This is why radiation 20 times higher than before the Accident continues to be permitted, threatening public health.
In view of the undeniable presence of dangers,the Tokyo Olympic Games could not take place,morally speaking.
The honor of Japan is at stake. So is the honor of the Olympic Games.
I am convinced that you will redouble efforts to tackle with the present critical situation faced by the Tokyo Olympic Games 2020 and the Olympic Games itself.
With warmest and highest regards,
Mitsuhei Murata
Former Japanese Ambassador to Switzerland
経済界の指導者からの進言傑出した経済界の指導者から頂いた下記メッセージは傾聴に値する貴重なものです。できるだけ幅広く共有したいと存じます。
「いつも多くの資料Mailいただきありがとうございます。それにしても国や関係自治体など声をあげないのはおかしいですね。日本のMediaも不都合なものは見ない態度はFairではありませんね。海外から声がたかまるのはShameというべきことです。ありがとう。」
東京五輪の今後についてはこのまま準備が進められれば、(1)一部の選手によるボイコット、(2)一部の国によるボイコット、(3)地震、台風などの天災の発生による挙行中止という事態が発生する可能性も排除されません。すでに「不道徳・無責任」、「放射能まみれ」などと批判されておりますが、このような不名誉を払拭するには、日本が勇断を振り絞り自発的イニシャティヴを取り、国際社会に混乱を招いたことを陳謝し、福島事故処理に全力投球するために、東京五輪の返上ないし延期を要請することが適切と考えられます。
皆様のご指導とご支援をお願い申し上げます。
村田光平
(元駐スイス大使)