年頭所感
明けましておめでとうございます。 年頭の所感をお届け申し上げます。
「世直しコロナ」は不道徳なカジノ、リニア中央新幹線に重大な打撃を与えました。 「世直しオミクロン」は「電事連」の改革を生むかもしれません。 フクシマ事故の真因は「安全神話」の背後の総括原価方式から生まれた巨額の資金だからです。
オミクロンの感染爆発の一因となった沖縄駐在の米軍の在り方についての議論も不可避になったと言えましよう。 福島汚染水の海洋放棄に対して内外の市民社会が反対する動きも兆しが看取されます。
これとの関連で注目されるのは江口工鉱研工業前社長の提案です。 江口氏は地下開発の権威で、チェルノブイリ事故発生の翌日ソ連政府から要請を受け、近隣河川への放射能の到達を食い止めた方です。また地下ダムを建設して福島第一への山側からの大量の水の流入を防ぐ案を提唱し、菅直人総理にまで了承されたにもかかわらず、株主総会を控えた東電に拒否されました。 これが汚染水問題発生の原因です。
江口氏は福島汚染水問題に関して、25年に亘る地下資源開発で生まれた地下空洞(後楽園ドーム数個分、福島第一から10数キロの地点に所在する)の活用を経産省に申し出ておりますが、東電が反対しているとのことです。 江口氏は小出裕章先生とともに福島第一を石棺で覆う解決を提言しております。 3月11日の福島事故11周年に備えて、NHKは江口氏に対して年末に数時間もの取材をしたとのことです。
近づく参議院選挙との関連で、市民社会が重大な関心を寄せ続けるのは市民による「モリ・カケ・サクラ・赤木」追求の先行きです。 他方、小型原発を推進して放射能漏れを恥じない仏、EUなどの不道徳を内外の市民社会が放置する筈がありません。 CO2を過大敵視することで、原発以外の選択肢を封じようとする不道徳な戦略が存在します。 これに対しては「原発稼働より、火力発電をつかうべし」という堂々としたキャンペーンが立ちはだかろうとしております。
深まる世界の危機に直面して、その真因は世界中に広がる倫理の欠如であるとの認識が拡散しつつあります。 今年8月スイスのPontresinaで開催されることが決まった「世界倫理フォーラム」はその証左と言え、画期的進展です。 同フォーラムが長年懸案の「国連倫理サミット」の先駆けとなることが期待されております。小泉純一郎元総理が指導される「原自連」(原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟)が追及する脱原発の国際化による原発全廃がこの場で合意されることが切望されております。
オミクロンの凶暴振りを前にして先行きが深刻に懸念されますが、不道徳の永続を許さない歴史の法則(天地の摂理)が市民社会の未来への希望を確実に支えるものとして想起されます。
村田光平 元駐スイス大使
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