ウクライナ危機は倫理の欠如と父性文化が重なれば破局を招くことを改めて立証いたしました。
別添の父性文化と母性文化の特徴の比較表を一瞥すれば納得が行くはずです。
現在内外の市民社会が推進に努めている「倫理と連帯に基ずき環境と未来の世代の利益を尊重する母性文明」は縄文文明を源泉とするものであり、今こそ世界を救いうる日本の貢献であると信じます。
厳しい現実は軍備増強、核武装への流れを強めつつあります。
これに対して日本一新、世界一新の必要性の認識も強まりつつあります。
内外の市民社会が訴えてきた新しい文明の創設の動きが内外で強まることを期待する次第です。
父性文化と母性文化の特徴 引用元:比較表
現実に求められるのは、両文化のバランスであり、望ましい「度合い」だと思われます。 母性文化の潮流は、究極の破局に向かう現在の「力の文明」を母性文化に立脚した「和の文明」に転換するために不可欠なものであり、歴史的な意義がみとめられます。
父性文化 母性文化
・目標との関係 進歩 ――― 進化 直進 ――― 循環
・他者との関係 自己中心 ――― 連帯 競争 ――― 調和 対立 ――― 協調 弱者切捨て ――― 弱者への配慮 排他性 ――― 開放性 厳格 ――― 寛容 ヒエラルキー ――― 対等
・自己実現との関係 知性重視 ――― 感性とのバランス 強欲 ――― 少欲知足 権力 ――― 哲学
・目的達成手段 実力行使 ――― 対話 トップダウン ――― ボトムアップ 指揮統制 ――― 自発性
・環境との関係 自然征服 ――― 共生〈トモイキ〉 左脳 ――― 右脳
・その他 絶対主義 ――― 相対主義 神 ――― 生命 保守主義 ――― 革新主義 原子力エネルギー ――― 自然エネルギー 独裁 ――― 民主主義 |
哲学と政治(ウクライナ危機の教訓) 世界の現状を見るにつけ古代ギリシャの哲学者のプラトンの名言(すべての国王が哲学者とならない限り世の中の不幸は無くならないとの趣旨)が想起されます。
世界はウクライナ危機を前にして政治指導者に最も求められる資質は人道主義であることを思い知らされております。
ウクライナ危機の教訓として市民社会は下記の3点を学んだと思われます。
1. プーチン大統領が核兵器をいつでも使用できる状態に置いたことで核廃絶は理念の域を脱して、こうしたリスクを排除することが人類の現実の追及目標になったこと
2. 原発が現実に砲撃の対象になったことで所在国に向けられた核兵器であることが改めて立証され、脱原発の必要性が世界的規模で認識されるに至ったこと
3.国連常任理事国のみに認めらている拒否権問題を含む国連改革、福島事故の放射性汚染水の海洋流出を当初から容認するなど原発推進に前向きな国際原子力機関(IAEA)の改革が不可避になったこと
世界が直面するに至った真因は倫理の欠如であるとの認識が広がりを見せていることもあり、これらの問題を取り上げる場として内外の市民社会の国連倫理サミット開催への期待の盛り上がりが看取されます。
皆様のご指導とご支援をお願い申し上げます。
村田光平
(元駐スイス大使)