市民社会はかくも短時日の間に日本の国家としてのありようが改変されつつあることに衝撃を受けております。
経済界出身の尊敬する知人から寄せられた別添の所感は市民社会が強めつつある危機感を的確に伝えるものとして共有させていただきます。
死活的重要性を有する変化をかくも軽々に実現することは哲学の教えの三原則(天地の摂理、歴史の法則、老子の天網)から到底認められるものではありません。
人力を超える問題であるが故に権力を有しない市民社会は哲学をもってこれに対応し、未来への希望を抱き続けるほかはないと考えております。
村田光平
(元駐スイス大使)
市民社会の所感 引用元:2023年新春
昨年12月16日、新聞は「防衛費増税 与党合意―自民党と公明党は15日、防衛費増額の財源として、法人税、所得税、たばこ税の三つを増税することで合意した」と報じている。 ちょっと待って欲しい。「防衛費増額」とはこれまでGDPの1%、年間ほぼ5兆円に抑えてきたものを、5年後までに倍増すると云う話である。「防衛費増額」が妥当かどうかをまず議論すべきで、「財源」はその後の話で順序が逆ではないか。 日本はGDP世界第3位の経済大国である。同時にGDPの2倍の借金を抱えた借金大国である。その国がGDP比2%の軍事予算を持てばたちまち世界第3位の軍事大国になる。軍事費(防衛費)は世界で9位、軍事指標(軍事費、経済力、人口、陸海空軍の保有戦力等様々な要素を指標にしたもの)は世界第5位にランクされている。日本は現状でも世界で有数の軍事大国なのである。「防衛費(軍事費)」を2倍にするということは「国の形(国体)」を大転換することである。 岸田首相に訴えたい。これほど大きなテーマを国会での議論もなく、国民もよくわからないまま、大筋を決めて、財源に議論を先走りするのはあまりに拙速で乱暴である。 国会で議論を尽くすと共に何よりも国民に丁寧に説明し、理解を得なければならない。国を滅亡させた経験を持ち「2度と過ちを犯さない」ことを誓ったはずの我が国である。このまま突き進むと国家百年の計を誤ることになる。 心配しているのですが、首相は本件について、内々にアメリカに約束してしまっているのではないでしょうね。 |