今朝の朝日新聞朝刊に「小澤征爾さんを失って」という村上春樹の寄稿文が、彼との交流におけるエピソードから彼の人柄が紹介されていました。
それを読みながら、私にとっても小澤征爾は青春時代の忘れがたい思い出として蘇りました。
高校2年生の冬休み前、新聞で小澤征爾の指揮によるベートーヴェン第九コンサートを知り、前売り券の発売日初日、親に内緒で学校をさぼって開店前の新宿伊勢丹のプレイガイド前に並びました。僕より先に並んでいた同じ年頃の学生と音楽の話などをしている中で、彼から「誰かと行くの?」と聞かれ「もちろん一人で」と言うと「コンサートは二人以上で行った方が、感激を話し合えて数倍楽しいよ」「でもお金が・・・」「よければ、貸してあげるよ。当日に返してくれればいいから」そう言われてしまうと誘う相手の当てもいないのに断り切れずに借りてしまいました。なんて人のいい人でしょう。
二枚のチケットを持って学校に、遅刻の理由を何にしたかは覚えていませんが。
それより誰を誘うかで頭はいっぱい。
そのころ付き合っている人などいるわけもなし・・・
当時、クラスの男子達がクラスメート女子の人気投票なるものをやっており、いつも圧倒的なナンバーワンになっていたSさんの顔が脳裏に、僕にとっても憧れの君、しかし遠い存在でもありましたが。
翌日曜日の朝に意を決して電話で誘ってみました。
すると「お母さんに相談してみる」との返事。
それから何日間だったか、一日千秋の思いで返事を待ちました。
そして「OK」
ひゃ~ 天にも昇る心地
はじめてのコンサート はじめてのデート しかもクリスマスの夜
会場は日本武道館 演奏は小澤征爾指揮:日本フィルハーモニー交響楽団
ソプラノの伊藤京子だけは憶えていますが他は?
ベートーヴェン作曲 交響曲第9番ニ短調「合唱」
というわけで話がそれました。
改めて、小澤征爾のレコードを私のレコードライブラリーで探してみると
トロント交響楽団を指揮したメシアン「トゥランガリラ交響曲」 武満徹「ノヴェンバー・ステップ」の2枚組とヴァイオリンのイザーク・パールマンと共演でロンドン・フィルハーモニー管弦楽団を指揮したヴェエニアフスキーのヴァイオリン協奏曲第1・2番の比較的アンポピラーな2点のみでした。
早速、彼を偲んで聴き直してみます。