スペインは、各地方によって随分と文化風土が異なる。例えば、北東バスクと南のアンダルジアでは、到底同じ国とは思われないほどに雰囲気が違う。じゃあ、バスクは隣国フランスやイタリアに似ているのかというと、いやいや、やはりスベインなのだ。
何が通底するのか?それはスペイン語と、そしてあのうねるような渦巻きと唐草模様の「バロック」ではないか、と僕は思う。
トレドやセビリアのカテドラルの祭壇は、金ピカの大渦巻きがグルグルうねり回っている。生命が自己増殖して、そのあまりラセンを描き、近隣を侵食しはびこる姿である。くねりながら荒れ果てた大地に茂るオリーブの老樹の姿そのものである。個人の住宅のすみずみまで転移して、洋夕ンスの装飾、ベッドの枕辺金具、ベランダの手すりにいたるまでが、「悪趣味」と訳されるほどに「バロック」なのである。これなくして、芸術の国スペインはない。
あのガウディもそうだ。サクラダ・ファミリアのラセンの尖塔や、うねりをやめないカサ・ミラ。そして傑作グエル公園-。日本の団体さんがバスから降りてきて、おばさんが言った。「あらぁ!なんだかディズニーランドみたいね!」
スペインは、各地方によって随分と文化風土が異なる。例えば、北東バスクと南のアンダルジアでは、到底同じ国とは思われないほどに雰囲気が違う。じゃあ、バスクは隣国フランスやイタリアに似ているのかというと、いやいや、やはりスベインなのだ。
何が通底するのか?それはスペイン語と、そしてあのうねるような渦巻きと唐草模様の「バロック」ではないか、と僕は思う。
トレドやセビリアのカテドラルの祭壇は、金ピカの大渦巻きがグルグルうねり回っている。生命が自己増殖して、そのあまりラセンを描き、近隣を侵食しはびこる姿である。くねりながら荒れ果てた大地に茂るオリーブの老樹の姿そのものである。個人の住宅のすみずみまで転移して、洋夕ンスの装飾、ベッドの枕辺金具、ベランダの手すりにいたるまでが、「悪趣味」と訳されるほどに「バロック」なのである。これなくして、芸術の国スペインはない。
あのガウディもそうだ。サクラダ・ファミリアのラセンの尖塔や、うねりをやめないカサ・ミラ。そして傑作グエル公園-。日本の団体さんがバスから降りてきて、おばさんが言った。「あらぁ!なんだかディズニーランドみたいね!」
年老いたガウディは、市電にひかれて死んだ時、ホームレスに間違われたほどみすぼらしかったそうだ。創作一筋の清貧であった。偉大な芸術家は豪邸に住むお金持ち、という俗人の錯覚は、ピカソがつくった幻想にすぎない。偉大な芸術家は今も昔も、金品を軽蔑する境地でのみ存在可能である。なのにこのおばさんは、あのディズニーランドに似ているなどとは、不謹慎な!と僕は思った。
しかし、見れば見るほど、特に入り口付近の小さな塔などは、お菓子の家のようである。インテリ吾輩は唸った。
昔、マドリードからの汽車の中で隣り合わせたバスクの老婦人が驚くべきことを言った。「あなた絵描きさん?そう言えば、私は、あのヴォルト・ディズニーに会ったことがありますよ。あの人は実はスペイン人なんですよ」
えっ?!後で調べてみると、たしかにそういう説もあるらしい。 グラナグ県モハカル
付近の寒村に生まれたホセ・ギラオは、母とともに新天地アメリカに渡り、ディズニー家に養子に出されたというのだ。それが真実だとしても、もちろん当人は赤ん坊だから知るよしもない。
言われてみれば、ウォルト・ディズニーの顔は、まさにスペイン人のそれである。
そして、ディズニーの、例えば魔法使いの杖から出る光の渦巻き、ピーターパンや天使のぐるぐる回る飛び方、あらゆるものが突然グニャリと曲がったりと、まさしくスペインの「バロック」ではないか!ダリのグニャリと溶けてテーブルから垂れる時計を思い浮かべていただきたい。あんなイメージはスペイン人からしか出てこない。「バロック」なのだ。
バスクの老婦人は言った。「私は言いましたよ。ディズニーさん、本当はあなた、スペイン人なんですってね、って。すると、彼は笑って『まあ、そう言われておりますな』に彼は否定しなかったんですよ!」
スベインつて、すごいでしょ?
年老いたガウディは、市電にひかれて死んだ時、ホームレスに間違われたほどみすぼらしかったそうだ。創作一筋の清貧であった。偉大な芸術家は豪邸に住むお金持ち、という俗人の錯覚は、ピカソがつくった幻想にすぎない。偉大な芸術家は今も昔も、金品を軽蔑する境地でのみ存在可能である。なのにこのおばさんは、あのディズニーランドに似ているなどとは、不謹慎な!と僕は思った。
しかし、見れば見るほど、特に入り口付近の小さな塔などは、お菓子の家のようである。インテリ吾輩は唸った。
昔、マドリードからの汽車の中で隣り合わせたバスクの老婦人が驚くべきことを言った。「あなた絵描きさん?そう言えば、私は、あのヴォルト・ディズニーに会ったことがありますよ。あの人は実はスペイン人なんですよ」
えっ?!後で調べてみると、たしかにそういう説もあるらしい。 グラナグ県モハカル
付近の寒村に生まれたホセ・ギラオは、母とともに新天地アメリカに渡り、ディズニー家に養子に出されたというのだ。それが真実だとしても、もちろん当人は赤ん坊だから知るよしもない。
言われてみれば、ウォルト・ディズニーの顔は、まさにスペイン人のそれである。
そして、ディズニーの、例えば魔法使いの杖から出る光の渦巻き、ピーターパンや天使のぐるぐる回る飛び方、あらゆるものが突然グニャリと曲がったりと、まさしくスペインの「バロック」ではないか!ダリのグニャリと溶けてテーブルから垂れる時計を思い浮かべていただきたい。あんなイメージはスペイン人からしか出てこない。「バロック」なのだ。
バスクの老婦人は言った。「私は言いましたよ。ディズニーさん、本当はあなた、スペイン人なんですってね、って。すると、彼は笑って『まあ、そう言われておりますな』に彼は否定しなかったんですよ!」
スベインつて、すごいでしょ?
朝日新聞GLOBE より