シューマン作曲［子どもの情景op.15 ］１３の小曲からなる作品集の真中７番目に位置する作品。
トロイメライTuäumerei　－夢－　この曲名からして多くの人に親しまれている名曲です。
　私も幼稚園で、おひる寝の時間に毎日この曲を聞かされました。そういうことから、音楽と意識して初めて聞いたクラシックは、このトロイメライかもしれません。

　最近読んだ諸井誠 著『名曲の条件』に「《トロイメライ》をめぐって 情緒か、構造か」という興味深い記述がありました。
「ロマン派を代表する作曲家シューマンの作品の中でも広く親しまれており、美しい旋律を持したリード形式の小品、たんなる主情主義的と思われがちだが、そこには画一化を防ぐためのさまざまな手立てがほどこされた主知主義的側面も有している。
　統一と変化 芸術の永遠の命題に挑んで、これほど短い曲のなかで、これほどみごとな解答がもたらせた例も、そう多くはない。」

　私の好きなホロヴィッツなどは、「子どもの情景」を数度レコーディングしており、コンサートのアンコールの最後はこの「トロイメライ」で終わらせていました。

　そこで今回は、「トロイメライ」をアルフレッド・ブレンデル、クララ・ハスキル、ラドゥ・ループ、マルタ・アルゲリッチそしてウラディーミル・ホロヴィッツの'50 '62 '83 '87年の演奏で聴き比べてみます。