除夜の鐘は、「煩悩」を取り除くために撞くと聞きましたが 引用元:若林 隆壽「仏教の生活」より
「煩悩」とは、私たちの心や身体を「煩わせ悩ませるもの」です。 仏教では、「苦」の原因は、この「煩悩」にあると説いています。
「六煩悩」(貪・瞋・痴・慢・疑・見=むさぼる・いかる・おろか・あなどる・うかがう・悪い考えを起こす) の六つが、基本的な感覚である「六識」(眼・耳・鼻・舌・身・意=見る・聞く・嗅ぐ・味わう・感じる・思う)のそれぞれにあって三十六、さらにそれに過去・現在・未来の三つの時をかけて百八にもなるというのが、いわゆる「百八煩悩」です。自分には一つも当てはまらないという人はいないでしょう。
「除夜」は「除日の夜」といい、掃除や沐浴など身辺を清めるのに適していると定められていた日のことをいいました。埃のたまった部屋は掃除をすればきれいになりますし、身体の汚れは風呂で洗い流すことができます。しかし「身から出た錆」というように、「煩悩」は私たちの心身の中にありながら、私たち自身を苦しめるものなのです。 「除夜の鐘」の一つ一つが「そんな煩悩まみれの自分自身をしっかりと見つめ直せよ1」 つと鳴り響いている、そんな意識を持って耳を澄ませば、きっと新たな気持ちで新年が迎えられるでしょう。 |