風神雷神図襖 八面 東京富士美術館
宗達、光琳、抱一と継承されてきた風神雷神の図様を、其一は襖の大画面に広々と表わした。当初風神と雷神は襖の表裏を成していたという。
絹地を活かし、たっぷりと滲みを利かせた黒い雨雲に乗る二神は淡彩で軽やかに描かれ、開け閉めをする襖にふさわしく左右への躍動感がある。「祝琳斎」の署名と「噌々」の朱文円印から、四十代前半頃の作と思われる。
かつては襖四面の表裏を成していた其一の風神雷神図。二神は四面いっぱいに広がる雨雲を従えて天空を闊歩する。絹地に淡彩で描かれ、宗達、光琳、抱一の金地屏風とは趣を異にするが、畳に座して見ればまさに夕立を目前にしたような臨場感が得られるだろう。
落款は署名「祝琳斎其一」「為三堂」(朱文瓢印)「噌々」(朱文円印)。
四十代前期、大作を次々と手掛けた頃の作と思われる。 (岡野)
宗達、光琳、抱一と継承されてきた風神雷神の図様を、其一は襖の大画面に広々と表わした。当初風神と雷神は襖の表裏を成していたという。
絹地を活かし、たっぷりと滲みを利かせた黒い雨雲に乗る二神は淡彩で軽やかに描かれ、開け閉めをする襖にふさわしく左右への躍動感がある。「祝琳斎」の署名と「噌々」の朱文円印から、四十代前半頃の作と思われる。
水辺家鴨(あひる)図屏風 六曲一隻 細見美術館
金地に水流と鶴を連ねて描いた光琳の屏風(フリア美術館蔵)が知られ、『光琳百図』にも掲載されるが、この家鴨図はそうした先行作品に着想を得たものであろう。大きく弧を描く水辺や同一のモチーフを連ねる構成はいかにも琳派の様式に従っているが、嘴や水掻きなどは極めて写実的に描かれている。
「祝琳」(朱文方印)と「其弐画記」(朱文重郭方印)の捺印のみがあり、署名を控えることから特別な制作と想定される。
「祝琳」(朱文方印)「其弌画記」(朱文方印)のみの落款。水辺に向かって歩く家鴨は、琳派が得意とした金地に単一モチーフを配す「燕子花図」や「群鶴図」などの作例に構想を借りるものであろう。一見平板に見える家鴨も嘴や水掻きなど細部は極めて写実的に描かれている。以前は裏に銀箔地に金泥草花図六面があった。 (岡野)