「皇太子さまお生まれなった」の正規の歌詞が見つかりましたので、録音し直しました。
皇太子さまお生まれなった 引用元:子どもの昭和史「童謡・唱歌・童画 100」別冊 太陽1993年刊
大正から昭和の童謡界に輝く
日の出だ 日の出に 鳴った 鳴った ポーオ ポーオ サイレン サイレン ランラン チンゴン 夜明けの鐘まで 天皇陛下お喜び 皆々かしわ手 うれしいな母さん 皇太子さま お生まれなった
これは、1933(昭和八)年12月23日の皇太子ご誕生を祝う童謡で、皇太子とは、いうまでもなく現在の天皇である。 当時は、日本中の子供たちが声をそろえて歌ったものだが、いまでは、一番、二番と続けて歌うことのできる人は、千人に一人もいないそうである。この童謡のほのぼのとしたメロディを作ったのは、ほかならぬ中山晋平なのに、メロディだけはうろおぼえに記憶しているという人も、作曲者のことははじめから知らなかった、などという。 中山晋平の名を聞くと、ただちに連想されるのが『証城寺の狸囃子』であり、『砂山』であり、『しゃぼん玉』である。 これら晋平の代表作のようにいまなお歌い継がれている作品は、いずれも晋平が大正のころに発表したものであって、昭和期の作ではない。つまり、晋平が前にかかげた『皇太子さまお生まれなった』を作曲したということは、彼が押しも押されもしない地位をかためたことのしるしなのだう。
この歌の作詞は、大正以来の名コンビを組んできた北原白秋で、「お生まれになった」といわずに「お生まれなった」としているあたりに白秋の〝らしさ〟があるのだが、それはともかく、白秋と晋平がこの歌を作ったことは、二人が大正十年代から昭和ひとケタのころにかけて、野口雨情・弘田龍太郎・山田耕作といった人々にさきがけて、童謡界の代表的存在とみなされていたことを示すものではなかろうか。 専門家の評価はまちまちであろうが、一時期、童謡といえば、白秋であり晋平である、といわれていた時期があったのを、無視するわけにはいくまい。
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