鷺高誘拐事件 どうなる昼食問題 [鷺高新聞 第72号より]
今世間では吉展ちゃん事件などといって誘拐事件というものを神経質的だと思われるほど重要視している。……………およばずながらこの鷺高もその誘拐事件という流行の波に乗った。 鷺高誘拐事件とは、パン屋の客のことである。パン屋の客が最近目に見えて減って来ている。その客を誘拐した犯人とは食堂のおにぎり一家である。おにぎり一家といえばこの鷺高でだれ一人として知らない人ばいないほど有名である。そのおにぎり犯人が要求した身代金の額は大枚「六十円」最近生徒間でバン代の値上げ、パン販売方法などパンに関する所の不満がいやおうなしに耳に入って来るようになった。「パン代がまた上がった。」「高くなった割にバンが小さい。」「まずい。」………。「パン屋が戦場化したようだ。」「パンを買いに行くと休み時間を全部費しちゃうよ。」………といろいろ耳にする。業者側にも言い分がありこう言っている。 「パン販売方法をいろいろ検討してみたが、結局今の所現在の方法を続けるしかないのです。その理由は、食べざかりの生徒が昼まで待っていられる筈がないのでこの方法を用いるしかありません」この言葉は我々にとってチョト痛い所をつかれた。 パン屋の前に以前、群らがる大勢の女子がいた。そこだけを見るとまるで女子校のようである。大和なでしこである所の鷺高女生徒が「なによ」「ふざけんな」などとまるでオリの中の猿がえさの取り合いをしているみたいである。 しかし、今ではこのような生きる為の戦いは少し和らいだ。 というのは今学期の初め頃から田舎の味が鷺高にやって来た。文章の出だしにもあったおにぎり一家である。おにぎり一家とはおいなりさん五つに紅しょうが、ノリ玉のかかったおむすび二つにコロッケ、それぞれが50円。この一家の出現はまたたくまに人気を獲得。かくて昼食の座はパンからおにぎりに移った。最近はこのおにぎりも10円上がり60円になった。 この値上がりについて食堂のおばさんは、「紙の値段、わりばしそれにしょうがの値段、すべての値段が上がったのでしかたがないのです。」と言っている。 今後昼食についての問題は色々あると思いますがその間題を正しく、冷静に処理していただきたいと思います。(K・S)
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