【論説】 本当の心得は? [鷺高新聞 第77号より]
二ヶ月程前、我々は〝生徒心得細則〟といういかめしい名前の印刷物を配付された。中を開いてみて、多かれ少なかれ誰でも驚いた事と思う。服装規定・集合・解散・礼法・交通・清掃・受験・授業・等の時の態度………まるで私立の高校並である。特に服装の規定の部分は〝細かい所まで立ち入り過ぎる〟との声が多かった。男子の靴下、セーター、ベルトの色やズボンの裾巾。ズボンの裾巾は、21~23センチと規定されている。これはズボンの型の流行を阻止する為の策だという事はわかる。が、肥満性の人で裾を23センチにしてもきつく〝モモヒキ〟のごとくなったらどうだろう、はたして裾巾のようなものを正確に規定して良いものだろうか。そうして〝守れないものは、異装届を出すべし〟と一概に言って良いものであろうか。また、女子のセーター・靴下も同様であるが、特に反対が出たのは、夏のスカートの件である。〝あんな胸あての付いたスカートなんか、夏の暑い時に着なさいって言ったって無理よ〟多くの女子の口からこんな言葉がもれた。このような事は、色等の問題と違いもっと研究すべきものでばなかっただろうか。勉強の進行度にも多少は関係するものであるから、それから、礼法、交通、集合、解散の態度についてや、清掃の部分を読むと〝これが高校生に対する心得か、バカにするな〟と言いたい人が多いと思う。しかしそのバカにするなと言いたくなるようなものがなぜ生徒心得のごときもののページをかざっているのであろうか。その答は〝我々は小学校の時から先生に言われている事がまだわかっていない〟となるだろう。我々はもうすぐ大人の仲間入りをする年代である。それなのに、まだ先生から小学生のごとく言われ、生徒心得に記されていて恥しいと思わないのだろうか我々は何をしに高校へ入って来たのだ?小学校で聞いたのと同じ言葉を聞く為に入って来たのだろうか。ただ難解な開題をとく為に入って来たのだろうか。そんな片手落ちのはずはないのだ。勉学よりももっと大切なものを得た……しかし、生徒心得に、記入した方を責めず、記入された我々が以後同様な事を注意されないようにし、出来るだけ自律の心をもって物事にあたるようにしようではないか。そうして本当の高校生――生徒心得細則にあんな事を書かれなくてもすむような高校になろうではないか。もっと身になる高校生活を送れるようにする為に。
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