世間では、ネギが一本60円もするとか、「うちのお母さんも大変だなあ」なんて無責任に考えていたら、通い慣れた店の「ソフトクリーム」が50円に値上り。今回はその50円の「ソフト」を食べるお金、おこずかいを取り上げてみた。平均して高校生では1000円が相場。ほとんどが、ただなんとなく使って消えてしまう、と言う。現代の風潮としておこずかいを与えるのが義務とでも思っている親も少なくないとか。そこで高校生としての「おこずかい」について少し考えてみよう。
1万円(1ヶ月)も! 一口におこずかい、と言っても個人個人金額から使い方まで千差万別。ほとんどの人が毎月いくらかをもらっている、とはいうものの、1ヶ月百円から一万円までいろいろ。その内容も、学用品から日常、身の回り品まで、すべてが含まれている人もいれば、まったく、ただ食べたり遊んだりするだけに使っている人もいる。
1ヶ月一万円、という人は(2年女子)その中に授業料から定期代にいたるまでの、学校に関するもろもろの費用、自分の日常使っているハンカチとかの小物の費用も一切含まれているとの事。4月のように学期始めの月は何かとたいへんであろうが、高校生活をしていく上に決して少ないとは言えない金額だけに、自分でいろいろときりもりしていく楽しさは格別であう。
また、金額が固定していない人も全体の88パーセントをしめている。お金が必要な時にそのつど親からもらうので、1ヶ月どの程度使うか、全然見当もつかない、という無計画な人もいる。
一般的に月に決まって千円か、もしくは千五百円程度もらい、そのほとんどがレクリェーションに遊びに行く時の交通費などで消えてしまい、外出のなかった月は、二百円程貯金できるようである。
ある2年の男子は、毎月千円づつ月始めにもらい、学用品類は中に合まないそうである。そして、ほとんどが卓球場へ行く費用で、あとの残りは食べたりしてしまって、月未まではもたない、と言っている。また女子の場合、交際費を第一にあげ、次に手芸用品とか、単行本とか、毎月支出額が決まっているものをあげている。
女子の交際の中味は、ほとんど「あんみつ」などを食べる飲食費と言えそうであるが、男子の交際費の中には、デイトで女子の分まで払う、献身的なものも入っているとか。今からたいへんな事である。
こうあげてみたが、高校生活において、交際費が必要欠くべからざるもの、というわけでもない。たとえば2年のある男子であるが月に八百円、中に学用品、参考書も含み、それでいてがめつく貯金までできる、という。これでは学校生活が満足に送れないのではな
いか、というとそうでもない。彼は現在、立派に学校生活を送っている。別にいつもおこずかいが足りなくて困っているわけでもなく、ただ無駄な交際費は一切、使わないだけだそうである。だから交際費ゼロという月もあるとか。女子の分まで払う人には考えられない事であろう?
おこずかいを直接渡してくれるのは、やはり家庭の大蔵大臣の「お母さん」である。
一般の家庭では、お父さんもお母さんからもらうのであるから、当然とも言えよう。次におこずかいをもらった翌日のある2年の女子の日記をのぞいてみよう。

本代に千円 昨曰、31日おこすかいとして二千五百円もらった。ます何を買おうか。この前友達が話していた本とその他にも2冊ばかり読みたい本がある。それに月決めで「女学生の友」をとっているし、少女まんがの「マーガレット」も読みたいし、また今月も本代で千円位になるかな。それから、この前デパートで見つけたハンカチ、どうしてもほしいから二百円用意しておいて。そうそう、レース糸を買わなくては。先月編みかけのテーブルセンターを今月中に仕上げてしまってと。何か一つ作るのにニ、三百円位かかるから、趣味をするのも楽じゃないな。今月はA子さんの誕生日がある。三百円位の予算にしておこう。先月のB子さんの時、五百円も使って、月末までもたなくて困ってしまったから。
今までの合計が千八百円。これからクラブで帰りが遅くなると、お腹がペコペコになって、帰りに「アンミツでも食べたくなるでしょう。これが大体二百円位かしらそれにちょっときれいな便籐や封筒を見るとすぐに買ってしまうから百円。今月からは貯金もしたいし、このままでは、どこへも遊びに行けないことになるじゃない、おこずかいもう少し上げてくれないかなあ。でも考えて見れば、「マーガレット」も無駄使いだし、ハンカチも全然ないわけではないのだから。もう少しきりつめてみよう。両親だってきっと、独立した家計の上での経済観念を身につけさせるためにおこずかいをくれているんでしょうから。今月は少しがめつくしなくしては……。
こんなところで彼女の日記は、終っている。さて、あなたの計画と比べてみて、いかがかな。
経済観念を養うため なぜ私達の親はおこずかいを与えるのであろうか。こんな事を真剣に考えた人は少ないと思う。
何にも言わなくても、毎月決まってくれるのだから、なぜおこずかいを与えるのか、なんていう考えは起ってこないのが当然なのかも知れない。
二・三人の人に聞いてみると、「ただなんとなく習慣でくれるのじゃないかしら。おこずかいを与えるっていう事を当然の義務と思っているんでしょう」という無責はな人が意外と多い。事実、親の方でも、与えるたびにいろいろと深く考えているとは言い切れない。ただ一段に子供の将来の社会生活に備えて経済観念を養うために与える、というのが圧到的であろう。
だが、極端な例として、「親は子供の事をペットとして可愛いがっているのだから、その代償として、おこずかいを与えているのじゃないかな」と、発言する人もいる。また「子供が一人前になった事を認めて与える」とか「自分の子供が友達と満足にお付き合いもできないなんてみじめだから」という意見もある。
「毎月決まって渡さないと、いくら使ったかわからないで、無駄使いをしてしまい、とても不経済だから」と、語った親もあるとか。
どうやらここら辺に親の心の底が見られるのではないだろうか。
普通どこの家でも、子供が欲しいままにおこずかいを与える事はできないと思われる。だから、それが限られた金額の中で1ヶ月間自分でやりくりをして、経済観念を身につけさせる事に結びつくのであろう。
親達が経済観念を養うために、おこずかいを与えているのか、自分達の家計の都合上かは知らないが。
趣味に使おう お付き合いのために趣味に費すお金が残らない。おこずかいの使い道で一番多いのは交際費。なんていう人が私達高校生の間では意外と多い。飲食費として88パーセントを使ってしまったり、何となく1ヶ月に一回は遊びに出かけていたりして、月末には十円位しか残らないで趣味に使うお金は臨時収入からでなくては、とてもじゃないが出せない、というのが実情である。
おこずかいが多すぎて有り余っている人なら、無駄使いも結構であろうが、趣味としていろいろやりたい事があるのに、何となくお付き合いの方に傾むいてしまってというのである。
お付き合い、という言葉に束縛されるクセがなくならない限り親からいただいた大切なお金を有効に使う事はできないと思う。
おこずかいが有効に使えて、自分の趣味の向上にも役立つのであるのなら、趣味に費すおこずかいのウェイトを高めようではないか。
与える側の親もその方が張り合いがあろうし、私達の生活にも、趣味によって潤いができるであろうから。 (担当 篠宮ちずる)