中学2年の暮、NHKテレビでベートーヴェンの交響曲第九番を初めて聴き、知っているメロディ第4楽章「よろこびの歌」に感激、クラッシク音楽に興味を持ち始めました。
早速、新宿のコタニでワルター:ニューヨークフィルの第九を購入、なぜコロンビア交響楽団にしなかったというと、価格の問題、コロンビア盤は二枚組で3,600円、かたやニューヨークは1,500円のモノラル盤、中学生のお小遣いなら当然の成り行きでした。当時、他の演奏家でも第九は二枚組で「運命」とのカップリングが多かったように記憶しています。ただ難点は、第3楽章がA面とB面に分割されていることでしたが。
ポータブルプレーヤーで擦りきれるまで聴き、つぎはベートーヴェンつながりでケンプの「悲愴」「月光」「熱情」バーンスタインの「田園」モントーの「英雄」フルトベングラーの第七番、バックハウス「皇帝」とはまり込んで行きました。今こう振り返ってみても、それなりの演奏家を選択していますが、それは親戚にクラシック音楽に詳しい人がおり、その影響だったと思います。
次の転機は高校2年の時、銀座数寄屋橋のハンターで、それまで集めていたポピラー音楽、主にプレスリーのレコードをすべて売り払い、それで求めたのが、「ホロビッツの芸術」というアルバムでベートーヴェン、ショパン、ドビュッシーが収録されていました。
それまで漠然と聴いていたのとは違い、ピアノの音の美しさ、同じ楽曲「悲愴」をケンプと聴き比べ、演奏家による違いがあること、そして何よりもホロビッツの説得力ある演奏に強くひかれました。まさしくクラッシク音楽の醍醐味を初めて知ったレコードでした。
ギレリス、グルダ、ケンプ、バックハウス、グールド、ホロヴィッツ、ルービンシュタインそれからはしばらくホロビッツを中心にピアノ曲を聴きこんで行くことになります。
つづく