「最後だとわかっていたなら」 引用元:朝日新聞 2012.1.17. 夕刊
17年前、兵庫県西宮市で阪神大震災の揺れにおびえた13歳の少女は、結婚して岩手県陸前高田市に移り住み、昨年3月に逝った。逃げ込んだ市民会館で津波にのみ込まれた。29歳、妊娠3ヶ月だった。両親は偶然出会った一遍の詩に娘の声を聴いた。
最後だとわかっていたなら 作/ノーマ・コーネット・マレック 訳/佐川睦 サンクチュアリ出版
あなたが眠りにつくのを見るのが 最後だとわかっていたら わたしは もっとちゃんとカバーをかけて 神様にその魂を守ってくださるように 祈っただろ
なたがドアを出て行くのを見るのが 最後だとわかっていたら わたしは あなたを抱きしめて キスをして そしてまたもう一度呼び寄せて 抱きしめただろう
あなたが喜びに満ちた声をあげるのを聞くのが 最後だとわかっていたら わたしは その一部始終をビデオにとって 毎日繰り返し見ただろう
あなたは言わなくても わかってくれていたかもしれないけれど 最後だとわかっていたら 一言だけでもいい…「あなたを愛してる」と わたしは 伝えただろう
たしかにいつも明日はやってくる でももしそれがわたしの勘違いで 今日で全てが終わるのだとしたら、 わたしは 今日 どんなにあなたを愛しているか 伝えたい
そして わたしたちは 忘れないようにしたい 若い人にも 年老いた人にも 明日は誰にも約束されていないのだということを 愛する人を抱きしめられるのは 今日が最後になるかもしれないことを
明日が来るのを待っているなら 今日でもいいはず もし明日が来ないとしたら あなたは今日を後悔するだろうから
微笑みや 抱擁や キスをするための ほんのちょっとの時間を どうして惜しんだのかと 忙しさを理由に その人の最後の願いとなってしまったことを どうして してあげられなかったのかと
だから 今日 あなたの大切な人たちを しっかりと抱きしめよう そして その人を愛していること いつでも いつまでも大切な存在だということを そっと伝えよう
「ごめんね」や「許してね」や 「ありがとう」や「気にしないで」を 伝える時を持とう そうすれば もし明日が来ないとしても あなたは今日を後悔しないだろうから
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アメリカ同時多発テロ事件でも、追悼番組や集会で朗読された詩だそうです。深い感銘を受けたので、記事そのままを紹介しました。