大山上池から下池まで、山道を森林浴トレッキングしました。
コースの入口で嬉しい発見。コクワ(サルナシ)の花が咲いていました。
サルナシとも言いますね。キウイと同族で、秋に樽型の小さな緑の実をつけますが、キウイに似た味です。北海道ではコクワと呼ぶ人が多いようで、湯本香樹実の『夏の庭』にも出てきます。以前、中学校の国語の教科書にこの作品の一部が載ったとき、コクワの注として「小さな桑の実」と説明していたので、教科書会社の人に、間違いだと指摘したことがあります。(当時、教科書会社の社員が学校に営業に訪れるのは普通のことでした。私たちも現場の声として、さかんに注文をつけたものです。現場との接触を禁じた現状は異常です。)
花も、キウイに似ていますね。
初めてキビタキを見つけ、撮影しました。手持ちの300ミリ望遠で撮ったものをおもいきりトリミングしたので、ピントがぼけていますが、これでも一番写りがよいものです。
キビタキはピッコロのような澄んだ高い声でさえずります。短いイントロに続いて、オリジナルの短いフレーズを繰り返すのが特徴で、「トンピリビ」とか「ドレミ」とか、「ツクツクボウシ」などと聞こえます。このオリジナル部分がどれだけ創意的で美しいかで雌にアピールするのでしょう。
今回は、他にもイカルやサンコウチョウの声を聞きました。
森の中で出会ったチョウ。飛んでいる時、翅のおもて側はオレンジ色の豹紋だったように見えましたが、翅を開いてくれませんでした。顔をアップすると、やはりチョウも地球の仲間。親近感がわき、心さえ通じそうに思えてしまいます。図鑑で調べると、このチョウは「サトキマダラヒカゲ」という名だそうです。例によって無意味に長い名前ですね。里・黄斑・日陰?ヒカゲチョウの仲間で黄色い斑模様が特徴の、山でなく里にいるチョウとか?
実は、大山上池、下池のトレッキングコースには、「熊に注意」という標識があります。コースには冬眠からさめた熊が最初に食べるという水芭蕉の群生地もあります。里山と呼ぶのもはばかられるほど町に隣接したところなのですが、心の隅にはいつも熊への警戒感があります。
北海道の子どもの置き去り事件。6日ぶりに発見できて、本当によかったと思います。マスコミは決して言わなかったけれど、一番心配された危険はヒグマでした。駒ケ岳がある渡島地区は知床に次いで熊の密度が高く、不幸な事故、事件が何度も起きているところです。ヒグマは人間を獲物、食物と見ることもあるわけで、捜索に当たった人たちも最悪のことを恐れ、心配していたはずです。でも口には出さなかったのでしょう。最悪の危険を予想しても口にしない……いかにも日本的な風景ですね。その場にいたらぼくでもやはり言えないでしょう。最悪のことは想像することさえ不吉とか、悪い予想が現実になることを恐れるという心情があるのですね。井沢元彦(彼の政治的思想には賛成できませんが)の言う「言霊信仰」というやつです。
原発でも同じことが言えますね。原発の事故は、もし起これば取り返しのつかない大惨事になる。そんなことは想像もしたくない。そんな心情が働いて、目をつぶってきた結果が今の福島です。
「熊本地震」の余震は、ついに薩摩半島沖にまで範囲を広げてきました。地震の呼び名を「熊本」に限定したのは、鹿児島の川内原発や、佐賀の玄海原発、愛媛の伊方原発を隠すためかという疑いを持ちますが、首をひっこめていれば危険が立ち去るというわけにはいかないでしょうに。
危険の予測は考えたくもないという心情を利用するかのように、危険隠しをする政策に騙され続けるなら、この国の未来はないと思う今日このごろではあります。それにしても、大和くんが無事で本当によかった。