前回触れたチカラシバです。朝日に輝いていました。

その近くに金色のネコジャラシ、キンエノコロも。
いつも言いますが、エノコログサのエノコロとは「いぬころ」のことですね。同じ植物が猫と犬の両方の名前を持っているのはおもしろいと思います。

以前も紹介しましたが、酒田在住の水彩画家、あべとしゆきはこんななにげない庭の草を見事に描きます。光をたくみに表現して、まるで写真のようでもあります。(写真みたいというのは、風景画の評価としてはきっと喜ばれないのでしょうが。)
山形県は風景画家を数多く輩出しているような気がします。あるいは静物でも人物でも、写実的な画風の人が。
一方、秋田県、青森県と北上するに従って、写実を離れた表現をする人が増えていきます。絵に限らず、舞踏でも音楽でも、いや祭りでも、北ほど情念に訴えるようなものが多いのではないかと思うのです。
日本の伝統芸術を「縄文的」「弥生的」と2つに分けることがありますね。火焔土器のような流動的で情念的な表現と、無駄のないすっきりした表現というふうに。
すると東北では、北へ行くほど縄文的になっていくということになるのかもしれません。なるほど、三内丸山遺跡のように縄文文化の中心は北にあったといわれています。一方、弥生文化は朝鮮半島から渡来したのだとも。
平安時代、大和政権とエミシ勢力の境界(フロンティア)が栗駒山と鳥海山を結ぶあたりだったと考えると、現代の芸能や芸術の傾向とぴったりあてはまるような気がして、おもしろいと思います。