アレッポの石鹸
地元の生協の配送品のリストにあったので注文しました。
原材料はオリーブオイルとローレルオイル、シリア産と書いてあります。
ニュースでは、アレッポは内戦の激戦地となったため、今ではトルコで生産を始めたと言っていました。
アレッポという地名には聞き覚えがあります。聖書にも登場するのではなかったでしょうか?
横浜の、鎌倉に近い谷戸の中に建つ、まるで分教場のような中学校に勤めていたころ、一人の教育実習生を受け入れました。学習院大の学生で、電話口で「ごきげんよう」と挨拶をしたそうです。聞けば、父親は当時シリア駐在大使、帰国すれば住むはずの家が学区にあるので申し込んだのだそうです。
外交官の子として北京で生まれ、各国を転々として育ち、日本に来たのは高校入学から。単身で帰国したとのことでした。国文学専攻で、教科はもちろん国語科。外交官の家族はレセプションやパーティーに出席することが多く、話題は母国の文化について。しかし、知らないことが多すぎるとの思いで、国文学を選んだというのでした。
実習最後の日、花束を抱えて彼女が言ったことば:「みなさん、私の家はダマスカスにあります。とても美しいところです。ぜひ遊びに来てください。」
そのシリア駐在大使はその後退職し、その後最高裁判事になった同じ名字の元外交官がいるので、彼女のお父さんではないかと思っているのですが。
そして、「美しい町」と彼女が言っていたダマスカスは、今ではやはり戦場になってしまいました。
ところで外交官というのは、本国の政策がたとえ自分の心情に反する場合でも、本国に従わなければならないのですね。今、世界各地で、日本の外交官はどれだけ辛い思いをしているのでしょうか。武器を持たない国だからこそ、外交の本領が発揮できるのだと思うのですが。