クリスマス精神を福島の子どもにも……
石巻に住む9歳の女の子が、サンタクロースに招かれてフィンランドに行ったという新聞の記事は、ほのぼのとした暖かいニュースでした。 2011年3月11日、当時6歳の姉が津波で亡くなりました。「お姉さんを帰して」とサンタに祈っていたやがて、「お姉さんの代わりに世界を旅する人形がほしい」。姉妹の人形をプレゼントされると「人形に旅をさせて、記念写真を撮って送ってほしい」と変わっていたそうです。 サンタクロースに会いに行くと、いつのまにかいなくなってしまった姉妹の人形がいて、サンタは、人形が世界を旅したことを話し、その写真と一緒にクリスマスイブに届けてあげると約束したそうです。 この話の裏には、少女の母親をはじめ、復興支援のNPOや、人形をリレーした旅行者などの協力があったことでしょう。「クリスマス精神」という言葉を思い浮かべます。
一方で、福島の子どもたちにあたたかい眼差しが向けられないのは、どうしたことでしょう?特に自主避難者には、福島に住む人からも厳しい目が向けられているようです。自主避難を続ける人がいるから、福島はまだ危険なのだと思われる、いわゆる「風評被害」を助長する存在として見られてしまう。県外で、アパートや公営住宅に住む避難者に、見なし仮設住宅として援助していた家賃も打ち切ろうとしている。 生まれ育った土地に帰りたいから、行政の「安全宣言」を信じたい高齢者と、根拠のない安全保証に不安を持ち、福島から離れたい若い家族。その家族も、仕事で福島を離れられない父親とは離れて暮らさざるを得ない。 そんな不安と苛立ちのなかで、子どもが学校でいじめられるというのは、なんと残酷なことでしょうか。 東京電力は、いまだに被害者に謝罪をしていないという事実。国策として原発を推進してきた国も謝罪をしないどころか、なりふりかまわず原発政策をすすめようとしていることに、強い怒りを覚えるのです。 福島の子へのいじめについて、文科省が横浜市などの教育委員会を高圧的に指導に入る前に、まず国として「原因は国の誤った政策にあった」と謝罪するべきなのです。そのうえで、学校や教委の対処について検討すべきだと強く思います。
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