数年前に、松枯れ病が日本海側ではついに最上川を越えて北上しているという報道がありました。松枯れ病は、カミキリムシが媒介するマツノザイセンチュウとかいう線虫が、松の木を内部から食い荒らして枯死させてしまう病気でしたね。日本海に沿って国道7号線を行くと、秋田県ではすでに松の枯死が目立ちます。海岸が荒れた草原になってしまっっている所もあります。
私たちの散歩コース(万里の松原)でも、松枯れを防ぐための伐採が始まりました。少しでも兆候の見える木を切り倒してしまうのです。
この森でも最大級の枯木も伐採されました。見ていると、一人が木に登り、チェーンソーを使って枝を切り払い、上から順に幹を輪切りにしてロープで降ろしていました。一度に倒すのは危険だからでしょう。これはNHKの「プロフェッショナル」で見た「空師=そらし」の技術と見ました。全部切り倒すのに2日かかりました。切り倒された木は、もとの形に並べられています。木霊への鎮魂の儀式でも行うのでしょうか?

今朝は、運び出しのためか切り口を揃えて並べられていました。年輪を数えれば、樹齢がわかるのでしょうが。


酒田の地名は砂潟からきているといいます。最上川が運んだ砂が強風で吹き寄せられた砂丘です。そこに先人が苦労して松を植え、飛び砂と強風、そして雪を防いだのだと、郷土史では教えられるようです。特に、豪商本間家の本間光丘(みつおか)という人が私財をなげうったと言われ、それにちなんで光が丘という町名にまでなっています。
つまり、万里の松原と呼ばれるこの広大な松林を失うことは、酒田では生活に関わる大問題なのです。いや酒田ばかりでなく、庄内地方全体、日本海沿岸全体に関わることです。
地方ニュースによれば、伐採は松枯れの広がりに追いついていないということでした。また、持ち主のわからない私有林も点在し、伐採が徹底できない。これも問題です。