これも「忖度」?……道徳の教科書検定
これも忖度というのでしょうか。ほら、道徳の教科書検定で、「パン屋さん」を「和菓子屋さん」に変えたら合格したという話です。出版社は検定官を忖度し、検定官は政権の意志を忖度したと。今年の流行語大賞は「忖度」で決まりですね。それにしてもパン屋さんはよく黙っていますね。世の中の空気を「忖度」したおっちょこちょいが「日本人はパンを食べるな、非国民め」などと言い出しかねない事態になるかもしれないのに。声を出して言わないのは認めたことと同じだよと、学校では教えるのですが。 ついでにいえば、「消防団のおじいさん」は笑えますね。敬老の心を養うため、「おじさん」を「おじいさん」にしたと言うのですが、別のより深刻な問題に触れてしまいます。高齢化で消防団員が不足し、年をとってもやめられないという実態です。そこに触れれば、より深まった道徳の授業になりそうですが。 実は、道徳の教科書はすでに国定版が出ていたのです。「心のノート」といいます。全国の義務教育学校に配られたはずです。もちろん、国定教科書は戦前の「反省」から出版できません。だからこそ「ノート」なのです。「これは教科書じゃなくてノートですよ。だから利用してね」というわけです。道徳が授業になり、教科書なんてどうやって編集したらいいんだろうなんて悩んだ出版社も、きっと参考にしたことでしょうね。この「ノート」、けっこういいことが書いてありましたよ。教育勅語にもいいことが書いてあるという程度にはね。問題はいいことが書いてあるかどうかじゃなくて、教育は権利であるのに、国によって内容が決められてしまうことにあると思うのですが。
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