登山が競技種目?
那須の雪崩遭難事では、主催した栃木県の高体連山岳部会(?)が会見を開きましたが、どう感じましたか? 気になったのが、体育会的なヒエラルキーです。ぼくはかつて、陸上部の名目的な顧問として全国大会に生徒を引率したことがあります。(その中学校には陸上部はなかったのですが、優秀な生徒がいたために、大会にエントリーするために名目的に陸上部を置いたのです。)宿舎では夜になると、顧問は飲み会への出席を強制されました。他の人はおおむね体育の教員か陸上の顧問で顔見知りなわけですが、先輩の命令は絶対というような体育会的人間関係に驚いたものです。酒の場では先輩が「踊れ」と言えば踊らなければならないし、女性はとくにお酌や雑用係りが当たり前。形式的とはいえ「民主的」な教員の雰囲気とは全く異なる世界でした。 今回の那須の雪山訓練では、山岳部会長は大田原高校の校長、責任者も大田原の教員で、本部は宿舎にあり、そこで指示を出していて、現場を見ていないことが気になります。そんなんした大田原高校山岳部は、20代の教員が引率していました。優秀な人だったと言われていますが、職場の上司や先輩の指示に異論を言える雰囲気だったのかどうか。山を相手にする山岳部は、体育会的ヒエラルキーとは相容れないはずですが、そこはどうだったのだろうかと思います。 さらに、インターハイに登山競技があるというのもどうかと思います。以前、山形県立酒田工業高校の山岳部員をのせた車が転落する事故があったのですが、それはインターハイの下見に行った帰りに、通行禁止の林道を強行突破し、慣れない山道で落ちたのです。登山が高校のスポーツ競技になっていることが、無理な山行、計画をしてしまう背景にあるとも考えられます。そもそも登山が競技種目だということが理解できません。 痛ましい事故だと思って見ていたのですが、きちんと検証すべき問題をたくさん持っているように思えてきました。
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