これが木だと言うと信じない人のほうが多いのですが、草ではなくてれっきとした樹木です。
新田次郎が作品名にも使ったチングルマですね。写真は花が終わったあとの穂で、種子を風で飛ばすためのものでしょうか。雪渓が解けると、白い花を咲かせ、その後このような穂になるのですが、「稚児車=ちごぐるま」が名前の由来と言います。でもその稚児車が何なのかよくわかりません。かざぐるまかな?昔の子どもが頭のてっぺんで結った「稚児まげ」かな?
ともかく、白い花もかわいいけれど、ぼくはこの穂が好きです。すぐに浮かんだのがさだまさしの名曲「風に立つライオン」ですね。白い穂がライオンのたてがみに見えませんか?
秋の山で見る花や実は、夏よりも寂しげではあるのですが、たくましさも感じます。
その中に、春咲く花に分類されているものもありました。
ミヤマリンドウです。ハルリンドウやタテヤマリンドウと同じで、雪が解けると真っ先に咲く小さなリンドウですが、秋にも見かけます。夏が終わる頃、ようやく雪渓が解けた場所です。すぐ隣では、見慣れたリンドウも咲いています。これはエゾオヤマリンドウです。
白いトウウチソウと赤いトウウチソウ。鳥海山のはシロバナノトウウチソウなのですが、たまに赤い花があるのです。
クロマメノキ、別名アサマブドウ。でも豆でも葡萄でもなくツツジ科のブルーベリーです。
ではこれは?
花はアザミのようですが、葉にトゲはない。ごぼう畑を見たことがあればこれはごぼうだと言うでしょう。オヤマボクチといいます。葉の裏に白い綿毛があり、昔は火打ち石で火を起こすときに使う火口(ほくち)の代わりにしたというので、「山の火口」から名がついたそうです。地方によってはその綿毛を蕎麦のつなぎに使ったり、根を「山牛蒡」として食べるそうです。「幻の植物」と言う所もあるそうですが、こちらにはまだまだいくらでもあります。
今回の到達点もいつもの賽の河原というところです。もうひと登りすれば八合目の御浜なのですが、去年今年と、ここまでしか来られないのは連れ合いが膝を痛めているためです。その御浜の山小屋がここから見えます。
あそこまで登ると眼下に火口湖の鳥海湖が見えます。鳥の海という別名があって、海のほとりだから浜なのですね。