唐突ですが、近ごろ人気の山菜「コシアブラ」の語源は「濾し油」、つまり「油を濾す」が語源とのこと。コシアブラの紅葉(黄葉?)を見れば納得です。
黄色を帯びた半透明の白になり、光が透けてみえます。そこから油濾し紙を連想したのでしょう。
米沢の民芸、木彫の「おたかぽっぽ」はこの木を彫るのだそうで、山形人が山菜になると知ったのは近年の山菜ブームからだそうです。でも、タラノキやウコギと同じウコギ科で、おいしい山菜です。
実は昨日、今度こそ今年最後の鳥海山と思って、クマ出没の恐怖と闘いながら、鶴間池に行きました。実際にクマと遭遇したことはないものの、いるとすればこんなところというようなブナの樹海に囲まれた池です。
お馴染みのオオカメノキは赤く染まった葉から、ウサギのような冬芽をのぞかせていました。
カメノキにウサギって、おもしろいでしょ?
鶴間池への道は、登るというより窪地に向かって下るコースです。途中にはロープを伝う急斜面もありました。
ようやく見えた鶴間池小屋。池のほとりに建つ無人小屋です。
そして鶴間池。
ニュースでは、今年もブナの実は不作だと言っています。一昨年は豊作で、そのため一昨年の冬は子グマがたくさん生まれた。ところが去年は不作で、子どもを抱えた母グマが人里に現れる機会が増えた。今年は、子グマが独り立ちする時期にあたるので、若いクマとの遭遇が増えるだろうと。たしかにそんな傾向があるのかも。怖いもの知らずで好奇心の強い子グマが、人の前に出てきてしまうというような。
しかし、満員の小屋に入れずに外で弁当を食べていると、風が吹くたびにパラパラと落ちてくるものがあります。イテテ、と拾ってみると、ブナの実でした。三角錐の形なので、あたると痛いしつまみにくい実。不作といっても、去年のように皆無ではないのかも。
帰路は、車を停めた「のぞき」という所まで登るため、ブナ林の中の垂直ながけをハシゴやロープで登ります。「のぞき」とは池が見える場所の意味か、崖の上から身を乗り出して外界を覗く山伏修行が由来なのではないでしょうか。
終わりに、五合目滝の小屋口の駐車場まで車で登ってみました。そこでは湿地の草紅葉と、ブナの紅葉が見事でした。近所の70代の自転車おじさんと今日も会いました。