第115回早稲田大学春秋会 秋季大会
平成26年10月5日(日)
大隈会館301・302号室
24年5月3日「日本の政治を斬る」を講演した森田実先生の再登場で「安倍政権とは何か」。先生は静岡県伊東市出身、東京大学工学部在学中は学生運動に身を投じ砂川闘争に参加、現在は政治評論家として取材に基づいた辛口評論で鳴らしている。
父親の早世が同情を呼び、常に日の当たる場所に身を置いて政権をとる準備が出来ていた
安倍晋三は、第一次内閣では「戦後アンシャンレジームからの脱却」等といった選挙民にとって分かりにくいスローガンを掲げて、「生活が第一」を掲げた民主党に完敗した。
2007・7参議院選挙の獲得議席は37で単独過半数を取れず公明党と連立して乗り切って
いたが2012・12衆議院選挙では大勝し安定政権となった。しかし、その政策は不安定で
2007・9のAPECで、当時の米国ブッシュ大統領と会談した安倍首相は大統領の不快を買い、落ち込んでいたと大手米紙の記者から聞いている。その直後首相は消化器系の病で政権を投げ出した。福田・麻生政権で自民党支持が減る中、安倍晋三も一時やる気をなくしていたが某政治評論家の激励でやる気を取り戻したと聞いている。自民党内には谷垣同情論もあるが、派閥議員の数不足で名乗りを上げられず、結局石破との一騎打ちとなり勝った。石破は演説上手で遊説では必ず「民主党政権を生み出した責任は自民党にある」と
言うお詫び演説は地方では人気がある。エール大学・濱田教授の提唱するアベノミクスは幻想になりつつあるが、我が国では主要紙がアベノミクスに協力する報道を続けている。地方創成・女性登用などのスローガンで内閣支持率を維持しているが、最近パーティで見かけた安倍首相は軽やかな印象。米国の強い圧力で7月、「集団安全保障」が閣議決定されたがその後安保法制懇の話題が出なくなった。法制懇原案が大幅に後退したのであろう。
日米外務省当局の思惑違い、米国国防省と日本防衛省の関係、複雑な利害の中で6月末に米国・オバマ大統領はウクライナ問題でロシア非難を強め、特にミサイル発射をプーチンの責任と見做した。ロシアは中国に急接近し手を結んだがプーチンは冷静に判断をしているようだ。親中国派を排除した北朝鮮は日本の援助を当てにして日本に接近しようとしている。中国はドイツのメルケル首相を通して、中国、ロシア、ドイツを結ぶユーラシア重視の政策を推し進め、日本批判を強めて日本の孤立化を狙っているが日本を利するだけであろう。これから中国、米国を取材してみたいが、百年も戦争を続けて米軍も疲れ、軍紀も乱れつつある今、オバマ大統領は迷路に入り込み米国の時代は終わりつつある。歴史の流れの中では大国が崩れるとき、必ず大混乱が起きる。米国と手を結べない安倍晋三は自信を失いかねない。次にTPPの締結と消費税増税であるが、増税は反対派の二階の発言力が増している。安倍晋も迷いに迷っている。国際公約、景気動向、三党合意を楯に民主党も抵抗してくる。海外派兵を担保する自衛隊法改正も目前にあり来年夏場には解散があるかもしれない。川内原発再稼働問題も控えており場合によっては安倍晋三内閣は地獄を覗くかもしれない。
最後に私の早稲田贔屓の一つが、早稲田出身の野人政治家・風見章先生に結婚の際仲人をお願いしたことにある。<お蔭で離縁できません!>着物を着こなしたダンディーな森田先生が唯一話されたユーモア溢れる逸話である。
森田実 wikipediaより
森田 実(もりた みのる、1932年 - )は政治評論家。静岡県伊東市出身。ニッポン放送の番組やフジテレビ系列『めざましテレビ』で政治評論のコーナーを長年担当していたことでも有名。めざましの番組内で、突然に怒りだし女子アナを驚愕させる。怒った理由は小泉政権に関しての情報が森田実の気に障ったからである。 東京大学工学部卒業。東大時代は香山健一とともに全学連 全国学生自治会総連合の指導部を形成し、反基地闘争(反米武等闘争)などを指導。その後、共産党を除名されると多くの学生党員らと、共産主義者同盟を結成し、主に労対関係の任に当たっていた。その後、日本評論社出版部長、『経済セミナー』編集長を経て、1973年から政治評論家として活動。
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