嵐の後か戦場のような森に呆然とたたずむ子リス。
　去年に続いて今年も、ここで松の古木が伐採されました。それでもここに生き続ける生き物たち。
　マツノザイセンチュウによる松枯れ病はいよいよ猛威をふるい、大量の古木が伐採されています。
　日中は下請けの林業会社の作業員と、林業に特化された重機を見ることができます。オレンジの作業服にオレンジのヘルメット。最近の林業は、戦隊ヒーローのようにかっこいいんです。重機の爪で木の幹をはさんで、一度に数か所同時に切り分けることもできるらしい。不必要な小枝などはその場で砕いて林床にまいてしまいます。
　数年にわたる伐採で、日照が変わり、林床の植物の種類も変わってきています。日が当たらない場所が、急に日向になるわけですから。
　残念なのは、毎年聞くことができた野鳥のさえずりが、めっきり減ったこと。立ち寄るのですがそそくさといなくなってしまいます。そのかわり、海岸から街へと、生活の場を変えたイソヒヨドリが姿を見せます。朝ドラ「ちむどんどん」で、やんばるの実家で聞こえているあの声の主ですね。
　今のところ、松があまり枯れていない一角で、毎年咲くタツナミソウが今年も咲いてくれました。ここでは松林を守るボランティアが草刈りをするのを待つように咲き始めます。
　人の世はコロナウィルス、身近な森は松枯れ病……。
　ままならない世の中です。