裾出しルックの終焉か?
今朝の新聞の全面広告がユニクロのボトムズ。ボトムズとは、ここではパンツ(ズボン)のこと。我々世代は、パンツの後に(ズボン)をつけないと誤解されるかもしれないとビクビクしてしまうのだ、困ったことに。さらにパンツのパにアクセントをつけずに、平板に発音しないといけないらしい。 それはともかく、広告のモデルの集団の全員がパンツルックなのだが、ちょっとだけ発見があった。それは、いわゆるシャツの裾を出しているモデルは、男性が一人だけ。他の全員は、シャツに裾を入れて隠していて、とてもスマートに見える、当然だ。 おそらくチェッカーズ全盛のころだったと思うが、日本ではシャツの裾をだらしなく出すのが流行になった。ストリートファッションというのだろうか、スラムの子どもたちが、変えるべき家庭がなく、路上で過ごすため、持っているだけの服を重ねて着たのを、日本では若者の流行と勘違いしたのだと、ぼくは思っている。 パンツもサイズが大きすぎるのをゆるく、というかだらしなくはき、それがずり落ちて下着のボクサーパンツが見えても無頓着というのが、どれほど長く続いただろう。 70年代から、ブーツカットという、少し裾が広がったジーンズを履き続けていたぼくは、古臭いといって、生徒たちからどれだけからかわれたことか。 「どうしてシャツ出さないの?」「パンツ履いてないの?ノーパン先生じゃん?」 「シャツの裾出してたら、仕事ができない。きみらのお父さんたも、昼間、職場では裾なんか出してないはずだぞ。日曜日だけリラックスしてるんだよ。」と言ったって、聞く耳を持つ中学生じゃない。 ぼくの方は頑固にブーツカットを履き続けた。それは細々ながら乗馬を続けていたからで、ウェスタンスタイルではブーツにジーンズの裾をかぶせて履くのが現代風。裾が広くないとブーツが履けないし、ブーツカットのジーンズはサドルにまたがった時、足のラインがきれいに見える。ただし、ジーンズは本当は乗馬には不向きな素材で、人と馬の汗が沁み込むし、摺れてひどい傷を負ってしまうこともある。だから、こっそり中にタイツや股引のようなものを履いて防ぐほうがいいわけだ。映画でも、ジョンウェインなどは、堂々と赤い股引を履いている。 ちなみに、「ノーパン先生」としつこくからかった某女生徒は、その後芸能界入りを果たし、「Tバックス」の一員になったのは皮肉なことだ。確かにノーパンではないけれど。 そもそも、サイズの合わないジーンズを履いていたら、あらぬところが摺れてしまってひどい目にあうこと請け合いだから、こんな流行が続くわけはないと思っていたが、裾出しルックだけは驚くほど長く続いた。それが正しい服装だと思っている世代もあるのかも。 今現在、まだ裾出ししているお父さんがいたら、それはもう流行遅れらしいですよと言ってやりたい。もう出っ張った腹を隠せないぞ。がんばって引っ込めなけりゃ。
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