以前、リスの写真を撮るためにピーナツを撒く人を見ました。鎌倉のタイワンリスの例を見るまでもなく、餌づけは動物とヒトとの関係を悪くすることは必定です。サルやゴリラなどの研究には餌づけならぬ「人づけ」を行うそうです。人がいることに慣れてもらい、相手から空気や風景のように無視してもらう方法です。私も、できるだけ姿を晒して「こわくないよ、空気だよ、空気」と心の中で呟きながら撮影に挑んでいます。だから迷彩服など着ません。どうせ見えているのですから。
さて最近のリスです。地上でクルミを探すとき、時々顔を上げたり、立ち上がったりして警戒するのですが、その立ち上がった瞬間です。
ゴジラが出たぞ!
こちらは樹液を煮詰めるとメープルシロップになるというイタヤカエデの新芽を食べているリスです。
イタヤカエデの新芽を食べる
珍しい花を見つけました。バイモ(貝母)、別名アミガサユリです。検索すると、〇〇バイモなど、日本に自生する種ではなく、ただのバイモ、つまり漢方にも使うという中国原産の花。昔、営林署の住宅があったというあたりですから、花壇に植えられていたものが細々と残っていたのでしょうか?
バイモ(アミガサユリ)
ところで各地からの桜だよりが、ニュースで流されていました。あいも変わらず、全国的にぼんぼりに夜店という演出で、ゆっくりと花を見たい人の意欲をそいでいます。酒田市の隣、遊佐町にある渓流沿いの桜の名所は、雪の鳥海山を背景に、川の堤防沿いに桜が植えられ、対岸は石垣の塀に守られた農家が並ぶ、田園の桜という風情がすばらしいのですが、近年、やはりぼんぼりに演歌のBGMという演出を凝らすようになり、そうでなくても川に渡したこいのぼりがうるさいと思っていたので、花見に行くことをやめていました。せっかくの風景を自ら破壊してどうするのだと、怒りさえ感じていたのです。今年の報道ではぼんぼりがなくなっていたので、「やっと気がついてくれたか」と思ったものです。
地元のボランティアが臨時駐車場を作ったり、交通整理をしたりと献身的な働きをしていましたが、花見客が来たからといって商業収入があるわけでもなし、むしろ迷惑駐車やゴミなどのトラブルもあったでしょうし。
それにしても、全国の桜の名所では、今やライトアップが流行のようです。でもへそ曲がりな言い方を許してもらえば、たまたま月明りで見る桜は、昼間とは異なる神秘的な風情があっても、人口照明を照らすのはどうなのだろうかと思います。
いつもの一つ覚えの言い方ですが、たとえ消費電力が少ないLEDであっても、電気を湯水のように使っていられる状況ではなかろうと思うし、生物としての樹木に無神経に不自然な光を浴びせるのはどうなのだろうと思うのです。
古くは電照菊、現代は野菜工場……植物にとって光は成長に重大な影響を及ぼすもののはず。たとえば光合成には紫外線が不可欠であっても、浴びすぎは害になります。光を浴びる長さや長さの変化も大切。(私たちは室内に置く花や観葉植物でさえ、とても気を使っているはずです。)
桜だけではありません。歴史的建造物、滝などのライトアップでも、周辺の植物が影響されるでしょう。並木にLEDの豆電球を巻きつけるイルミネーションだってそうです。植物は何も言わないし、変化もゆっくりで気がつきませんが、ストレスを与えると特有の物質を分泌して、情報を周囲に伝えたりもするのだということがわかってきたと聞きました。人と関係の深い動物の福祉を考慮するアニマルウェルフェアがあるのなら、ボタニカルウェルフェアネスもあってしかるべきと考えますが、如何に?