山形県庄内地方の里山では、雪が解けてカタクリなどの早春の花が咲くと、早春のエフェメラル、生きた化石などとも呼ばれるギフチョウが飛び始めます。
しかしそれよりも前、まだ路面を雪が覆っているころに早くも飛び始めるチョウがいます。アカタテハやヒオドシチョウ、そしてルリタテハです。彼らは成虫で越冬しているらしい。
とくに黒地に青い斑紋のあるルリタテハは目立つ存在。
調べると、幼虫の食草はサルトリイバラというユリ科のつる草。それなら毎日散歩している森にもあります。というわけで、ときどきこの植物の葉をチェックしていました。
そしてこの秋、その幼虫らしい毛虫がサルトリイバラの葉の裏にいるのを見つけました。オレンジ色の体が白い棘でおおわれている危険な姿。ところが帰宅してみると、ささやかな庭のホトトギスが丸坊主、そこにそっくりの毛虫が3匹もいます。
ルリタテハ幼虫
図鑑を見ると、ルリタテハはホトトギスやユリも食べるというのです。棘が白いのは終齢の幼虫、まもなくサナギになるはずです。そこでこども時代の好奇心が頭をもたげ、室内に招待してしまいました。大きめの瓶にティッシュを敷き、ホトトギスの葉のついた茎を、根本を濡れたティッシュで包みさらにラップを巻いて入れます。そこに毛虫を入れておくのです。
毛虫はまもなく休眠に入り、数日して葉の裏に逆さにぶら下がって脱皮しサナギになりました。
ルリタテハのさなぎ
このサナギ、胸のあたりが金色、そして2つの白い斑紋が光を反射して虹色に光ります。これは以前、横浜で育ててみたツマグロヒョウモンに似ています。光ることで鳥などを脅かすのでしょうか。家庭菜園にCDをぶら下げるように……。
そして昨日、15年10月22日、帰宅するとチョウが羽化していました。
本当にルリタテハなのか? 羽を閉じていると、黒褐色の枯れ葉にしか見えません。瓶を傾けたりしてようやく彼(彼女)が羽を広げました。たしかに青い斑紋が見えます。
ルリタテハの羽化です。しばらくモデルになってもらい、それから大空に飛び立たせました。
ルリタテハ