柿もぎをしていたら、卵から生まれたばかりぐらいの小さなヤモリが現れました。密集した柿の隙間にいたらしいのです。
翌日、洗面所にヤモリがいたが逃げたという報告があり、またその翌日、キッチンに現れました。(画像参照)
このヤモリは、一度切れたらしく尾が短いので、柿の隙間にいたヤモリとは別の個体のようです。
ヤモリとイモリの区別がつかないとよく言われます。かーんたん、家を守るから家守、井戸を守るから井守ですから、建物の中に生息する爬虫類はヤモリです。
以前、学校に勤めていて、夜の校舎を見まわっていたら、廊下を小さなものが必死で走っています。短い足を漫画のように回転させて。小さなヤモリでした。それを捕まえて翌日明るいところで撮影してから釈放したのですが、皮膚の質感やネコのような細い虹彩までバッチリ写っていたので、やはりデジタルには敵わないと実感したのです。当時(いや、今でも)フィルムカメラにこだわる人がいますが、我々シロートには、フィルムではあそこまでの撮影は不可能です。
さて、現在住んでいる山形県酒田市は、ニホンヤモリの北限と言われています。当地の高校の先生と彼が顧問をする生物部が調べたのだそうです。
そしてまた、酒田ではヤモリをよく見かけます。木造の家がたくさんあるためでしょう。以前は、街灯や照明のつく看板などの近くにヤモリがいたものです。光に集まる虫を食べるためでしょう。(コウモリも街灯の周りを飛び交っていたりしました。)
近ごろそんな光景を見なくなったのは、照明が進化して虫を惹きつけなくなったためだそうですね。
子どものころ、ヤモリは鳴くと信じていました。戦時中、父が派遣されていたジャワにはオオヤモリがいて、「トッケー、トッケー」とけたたましく鳴くのだと聞かされていたのと、天井にヤモリがいるのを見つけた時「チ、チ、チ」という声が聞こえたためです。でも、今思えばあれは、室内に入り込んだ小さなコオロギの仲間である「カネタタキ」の声だったかもしれません。果たしてニホンヤモリは鳴くのか、だれかご存知ありませんか?
私の人生初の友だちは、勤め帰りの父が持ち帰ったカエルで、次は原っぱの石の下でとらえたカナヘビ(トカゲ・ただしニホントカゲとは別種)ですが、ヤモリはトカゲより愛嬌のある顔をしていて、可愛げがあります。まぶたがなく、指には吸盤があるなど、トカゲとは違う生き物ですね。
写真はこの秋、鳥海山麓二の滝の切り株で日光浴中のカナヘビ。こちらでは里山や鳥海山で見かけることが多く、東京のカナヘビより赤みがかっているように思います。子どものころは、布団の中にまで持ち込んで親に嫌がられていたものです。