京都と大阪では、そこに住む人のタイプが違うというのは疑問の余地がないだろう。もちろん一人ひとりの性格は違うのだろうが、共通した独特のタイプがあるわけである。
同じ庄内地方でも、隣接する鶴岡と酒田でもかなりタイプが違って、よそ者の目で見ているとなかなかおもしろい。
私が住む酒田は、堺と並び称される商業都市の歴史を歩んできたこともあってか、一言でいうとケチである。東京弁で言うところのみみっちいタイプである。たとえば、車のライトを真っ暗になるまで点灯しないとか、ウィンカーは使わずにすむなら使わないとか、高速道路が無料と聞くと(大震災の後の措置)、必要もないのに高速に乗リ入れるとか。
私たちが、犬に連れられて散歩している森では、去年の秋から急にクルミを拾う人が増えた。それもレジ袋がパンパンに膨らむほど根性の入った集め方である。日を追って人が増え、今年は数人で連れ立って来る人もいる。
試してみればわかるが、野性のクルミ(オニグルミ)というのは、簡単に割れるものではない。以前、わが家でも鉄床と金槌を総動員して割ろうとしたが、びくともしなかった。それで馬鹿力で金槌を振るったら、粉々になってしまい、非常に食べにくかった。それに自家用に拾うにしては量が多すぎる。
ウワサでは、クルミの値段が高騰しているのだという。私の偏見によれば、突然のクルミ拾いブームは、きっと小遣い稼ぎにちがいないと思うのだ。
数年前、森の一角に「クルミはリスの大事な食べ物です。クルミを拾わないでください。」と拙い字で書いた札が、木にくくりつけてあった。近所の中学校の生徒ではなかったろうか。クルミを拾う人は昔からそこそこいたのだろうが、その札は朽ちてしまった。
この森にリスがいるというのは、実はあまり知られていない。毎日散歩している人でも、まだ見たことはないという人が多いのだ。
私たちも、先述のかけ札や、割れたクルミの殻、エビフライと呼ばれる松ぼっくりの芯などの「食痕」を見つけてリスがいることは確信していたが、実際に見たのはここに転居して1年もたってからである。
その後、地上を走って木の幹を駆け上がり、枝から枝へ飛び移る姿を見たり、サクサクとクルミをかじる音から見つけたりして、リスをみ見つけることに慣れていった。
先日は、地上を忙しく走り回っているリスを見つけしばらく様子をうかがっていたら、くわえたクルミを地面に埋め始めた。貯食といわれる行動で、冬などに掘り出して食べるのだ。こんな時に限ってカメラを持っていない。せっかくのシャッターチャンスなのに、残念!
クルミの木が川岸に多いのは、水に落ちた実が流れ着いて発芽するためだが、この森では川もないのにクルミの木が多い。きっとこの森のリスは忘れっぽくて、埋められたままの実が発芽するのだろう。
今までに撮ったリスの写真。リス(ホンドリス、ニホンリスとも)は、夏毛と冬毛でかなり違うことにも注目いただきたい。
冬毛のリス
夏毛のリス
因みに、冬毛のリスは13年5月、夏毛は8月に撮影したものです。3ヶ月で変身です。