昨年12月初めに探査機「はやぶさ2」が、「スイングバイ」という航法で、小惑星りゅうぐう(竜宮)へと旅立たことが大きな話題になりました。
「スイングバイ」とは、探査機が惑星に近づいてその惑星の引力を利用して加速し、進路を変えることらしいが、そこで疑問がわいた。加速しながら進路を変えるまでは、何となく理解できるが、その惑星から遠ざかって行くとき、同じ引力を受けるわけだからプラスとマイナスで最終的には速度が変わらないのではないか。だが発表では加速して小惑星りゅうぐうに向かったとのこと。
このニュースに接してから、ずっとそのことを疑問に思っていましたが、その謎が日経新聞の特集記事で解明できました。
スイングバイ 引用元:日本経済新聞 2015.12.27.
スイングバイは質量の大きな星の重力を使って、少ない燃料で軌道変更する方法だ。探査機が星の上空に入っていくと、重力に引かれて次第に加速し、離れる時には逆に減速する。星が静止していれば原理的に速さはかわらない。航路が曲がるだけだ。 だが惑星は自ら太陽の周りを周回している。動いていく惑星の後ろを探査機が通ると惑星に引っ張られ、惑星の速度(速さと角度)が探査機に加わる。これが加速スイングバイの仕組みだ。逆に探査機が惑星の前を横切ると、惑星に引きずられて減速する。
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なるほど、惑星の公転する力を利用して、加速させるということらしい。
合点! それにしてもこの広い宇宙で、探査機と惑星の位置関係、惑星の公転の速度と進路を計算して、惑星に近づく速度と角度を算出し、次に弾き飛ばされる角度と速度を計算して探査機を操作する。 その基となる精度は0.000000001。1億キロ離れた「はやぶさ2」の位置が、100メートル以内の正確さでわかるほど。桁数を置き換えると1千キロメートル(直線で東京から種子島)離れた所から1ミリの的を射抜くのと同じ精度。文科系の頭では想像の域を超える世界です。
「りゅうぐう」への到達は2018年の夏というとこなので、それまで無事を祈りつつ楽しみに待ちましょう。
それにしても、疑問がすぐに解決できるネットの利便性にも改めて感服。
はやぶさ2