まず、発見の報告です。

ミノムシ。「なあんだ」なんて言わないでください。最近ミノムシを見ましたか?ぼくは7年ぶりです。その7年前は退職記念の沖縄旅行。むかし、あれほどありふれた生き物だったミノムシが、いくら探しても見つからないことが気になっていたのです。
小さなミノムシを裸にむいて、細かい色紙を与えてカラフルな巣を作らせて、子どもたちを驚かすなんていう密かな楽しみは、もうできないのか。
同級生の女の子が、ミノムシの巣を集めて貼り合わせ、見事なバッグを作っていたけれど、それも昔話。「ミノムシの巣の裏側は、丈夫で真珠色の光沢があり、絹のようなんだよ」って説明しても、もはや通じないのかもしれない。
ミツバチやスズメの激減、カエルの鳴かない田んぼ。日本版「沈黙の春」はニコチノイド系農薬が疑われているわけですが、消えたミノムシもその一つではないかと思うのです。
このミノムシは、先日、珍しく晴れた日にでかけたスノートレッキングで見つけたものです。
酒田市の旧八幡(やわた)町……古代の出羽国府とされる城輪の柵(きのわのさく)があったところですが……八森公園というところをカンジキを履いて歩いてみたのです。急な暖気で酒田市内は雪解けが進んだのですが、国府の北東の鬼門にあたるこの山にはまだ深い雪が残っていました。
公園内のトイレは、自然に雪が落ちるような作りです。暖気でゆるんだ雪が滑り落ちて、建物の周りには落雪が山になっています。

ノウサギの足跡です。いつも跳ねるように移動するウサギは、大きな後足の跡が前につきますね。

雪男の足跡とウサギの足跡が交差している? いや雪男ではなくカンジキの跡です。全日かそれ以前、誰かが通ったのですね。

こちらはリス、ウサギ、そしてキツネの足跡が交差しています。決して同じ時間に出会ったのではないでしょうが。

樹の枝などから落ちた雪のかけらが斜面をころがると、ロールケーキのような形に育ちます。庄内では、風に吹かれてできるロールを雪俵というらしいのですが、これはなんと呼ぶのでしょうか?

樹上に大きな雪玉。下を通ると落ちて来そうです。だれかが仕掛けた時限爆弾?

晴れた日は、木の影も美しく見えます。そして、光の当たらない影の部分は雪解けが遅れるため刻印のように残る……この日のささやかな発見です。

この日使ったのはこのカンジキ。スノーシューに比べて浮力は劣るのですが、下り坂でも滑らない利点もあるので、両方持って行くこともあります。