雪の消えた森の林床に、山菜のアマドコロの芽が出てきました。迷犬ハッチの大好物。立ち止まってはかじりとって、むしゃむしゃと食べています。あまり食べては毒だと思い、心を鬼にして止めるのですが。

さて、今年も始まったカラスのくるみ割り。森の中を通る舗装道路のわきに除雪された雪の山が残ります。その雪がなくなると枯葉のまざった腐葉土が残されます。去年、ギャング団を構成する若いカラスたちがそこをあさり、ミミズなどを探していました。邪魔なクルミは路上にどけておきます。それがたまたま車にひきつぶされる。おや、これ食べられるのか?
やがてカラスは、わざわざ車が通るところにクルミを置くようになります。
年配のカラスはカップルを作ってギャング団から独立して巣を作り、その周辺を縄張りとします。散歩コースの途中に、そのようなカップルを何組か見かけます。
森の一角にある県立高校の体育館付近を縄張りにしているカラスがいるのですが、先日、そのカラスが路上にいました。私たちの車が近づくと、路上においていたもの(クルミ?)を拾い上げて飛び立ちました。くるみ割り初心者のカラスは、クルミを置いてはみたものの不安になるのか、車が近づくとクルミをくわえて逃げてしまいます。このときもそういう行動だと思いました。ところが、このカラスは車を追い越して前にまわり、急降下してきました。そして車の前にぽとりとクルミを落としたのです。
残念ながらクルミはタイヤには当たらず失敗したのですが、路上にただ置いておくだけよりもはるかに成功率が高くなる方法です。なるほど、カラスは学習能力が高いのだなあと、学習能力の低い迷犬ハッチに嫌味ったらしくつぶやいたのでした。
しかし成功率もあるのでしょうが、カラスを毎日見ていると、別にクルミを食べなくてもちゃんと生きていける彼らがクルミにこだわるのは、それが楽しいからなのだろうと思います。生きていくための必死さなら、やがて飽きてしまうはずがありません。
走る車の前に急降下して、ピンポイントでクルミを投下するというのも、彼らのスリリングな遊びなのではないかと思えてなりません。カラスを嫌う人は多いけれど、憎めない部分も多いと思いませんか。
シジュウカラの鳴き声が、文法を持っているらしいという研究発表がありましたが、カラスにはもっと複雑な言語があるかもしれません。